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エッセイ150:私の考える教育機会におけるオリエンテーションの重要性

 学生であれ、社会人であれ、どのような学びの場においても、学ぶ内容の目的や実施に至るいきさつなどの経緯を知り、その真意を理解し納得してから学びをスタートさせることは、スーパーコピー最終的な学習成果に大きく影響してきます。さらには、企画運営する側にとっての実効評価にも大きく影響してくることも、気づいておかなければいけませんね。そのようなプロセスを経て得られる成果の違いを、この30年間を振り返ってつくづく思い知らされています。私の考える最大の眼目は、一人ひとりの自発的やる気を引き出す重要なプロセスの一つという位置づけなのです
 そのような理由から、企業内教育においても、学校教育においても、受講される皆さんに対して、スタート時に、目的・ウブロ スーパーコピー経緯・目標をキチンと分かるように伝えるとともに、それらを共有するための時間を持つことは、どうしても譲ることができない私の仕事遂行上の流儀なのです。その時間帯をオリエンテーション(またはガイダンス)と名付けて、今でも企画運営しております。ウブロ スーパーコピーこのプロセスこそが、運営する側と参画する側の共鳴への導火線となること、そして最終成否に大きく関わってくることを、企業内教育業務を通して何度も味わってきました。
 戦後日本の復興を後押ししたキャッチアップ時代が幕を降ろし、経済の低成長期に入った平成年代から、効果を置き忘れた拙速な効率優先主義、プロセスを(超)軽視した結果オンリー業績主義、目的を見失ったスピード優先主義の波が、人材育成の世界にも入り込んできました。効率化、結果主義、スピード主義の全てを否定はしませんが、本質を見誤った即戦力志向の人材育成アウトソーシングにはがっかりさせられた時期がありました。そこには、自発的動機づけなどには眼もくれない、明らかに考え違いしていると思しき、実施が目的の無益な教育機会が横行していました。私の志向するオリエンテーション(以下、OR)とはほど遠い世界です。そんな無駄が引き継がれ、本質的問題意識など置き去りにしたまま、現在に至っているような気もします。
 今回のエッセイでは、研修などの教育機会におけるORの重要性について考えてみたくなりました。さらに、エッセイ75回(2014.8.25記)を加筆修正した実例も紹介したいと思います。

私の考える教育機会におけるオリエンテーションの重要性

 ORの重要性と意図については、エッセイで何度か取りあげております。そのポイントを、前文の中で復習してみました。ここからは、岩手医科大学薬学部の自由科目において、私が担当しております90分間のORをできるだけ具体的に披露しながら、そのあり方を考えて頂きたいと思います。自由科目のタイトルは「東日本大震災から学び考える“これからの薬剤師のあり方”」で、5年前から毎年実施されているプロジェクトです。4年前からは「岩手県総合防災訓練から学ぶ」という自由科目も、同時進行で継続開催されています。発足時から、初日のOR(呼称はガイダンス)を担当しております。以下、昨年のORの骨子を紹介させて頂きましょう。

 私が企画し運営するORに90分もの時間をかけることには、ハッキリとした理由があります。
 それぞれの自由科目の目的と目標の達成を大前提として、参加する薬学生の自発的やる気を引き出し、自主性・自律性を高めて取り組んで頂くことが一番の理由となります。具体的には、「目的(背景、理由)」、「目指す目標」、「目標実現のための心構え、行動指針」の理解と共有化のために、どうしても90分という時間資源が必要なのです。
 現実の企業内教育に眼を向けますと、参加者の自発的やる気を高めるためのあり方に、大きな問題意識と危機感を抱き続けています。私が感じている問題意識を率直に提言しても、反応して頂けないことがほとんどですが、30年間の試行錯誤で得た実績を信念に変えて挑戦中です。3週間の新卒新入社員導入研修のORには、必ず3時間を当てております。
 私は大学職員ではありませんから、自由科目受講学生とは初対面になります。先ず、私の自己紹介からスタートします。この段階では、私の話しに出来るだけ興味を抱き、もっと聴きたい、と思って頂くことが一番の目標です。過去の失敗経験から、親近感を感じて頂くことにも注力します。
 自己紹介のあとは、教員ではない私が担当する理由を伝えます。それは、この自由科目の誕生秘話でもあります。その一部を紹介しておきましょう。


 『私は30年近く、いくつかの異なる業種の会社で、人事と教育の仕事に従事してきました。薬学生はもちろん、数千人の理系・文系の学生とも接してきました。そして、新社会人から幹部社員に対する数多くの企業内教育を通して、試行錯誤を繰り返しながら、人材育成の能力とノウハウを積みあげました。
 今つくづく感じているのは、“大学時代に何を学び、何を考え、何を体験してきたのか”が、一人ひとりのその後の将来にとって重要な要素であるということです。そのような理由から、人材育成という共通目標を持つ企業の教育担当と大学が連携して取り組む必要性を、長い間強く強く感じておりました。
 平成23年12月のことです。薬学生向け合同就職相談会において、O先生と情報交換する機会に恵まれたのです。以降、薬学生や薬剤師の実態、問題点、課題などについて意見交換をさせて頂きました。数回の打合せを経て、共通認識の課題解決を目指してコラボレーションすることに至ったのです。そして、東日本大震災の被災地薬剤師から学び考えることを優先課題と位置づけて、この自由科目が誕生いたしました。
 今回のように本質的な課題を共有しながら進めるプロジェクト的連携が、継続して定着していくことを期待しております。』

 続けて、“何故、ORを重要視するのか!これだけ時間をかけるのか!”という私の思いを、率直に投げかけます。

  
 『「何故オリエンが重要なのか?」、この点を参加者全員が理解し納得することは、自由科目(プロジェクト)全体の目的と目標達成のための強力な推進役となります。人材育成の仕事に携わって30年になりますが、確信に近い私の経験則です。
 この自由科目の場合、理由はいくつかありますが、今回は次の四つのことを考えて頂きたいと思います。
 先ずは、次の二つの考え方を前提条件ととらえてください。
一つは、「参加したメンバー一人ひとりが、“何らかの成果があった”と、自主的に判定し実感出来るようにしたい」という願望です。二つ目は、「人間の行動、言動には、必ず理由や背景(体験、思い、志など)が存在する」という認識です。
 その二つの前提となる考え方を推し進めていくと、目標達成に向けてチームパフォーマンスをあげる必須要件として、次の二つのプロセスは避けて通ることができない、という結論に至ります。
 「今自由科目の目的、目標、心構え・行動指針の着眼点を理解し共有化する」、そして「可能な限り、一人ひとりの思いや考えを率直に出し合って相互理解に努める」ということです。
 皆さんは、自律的意思決定によって当自由科目に参加しました。そうは言っても、人間は10人10色ですから、「何となく…」、「友人に誘われて…」という理由もあるかも知れません。
 いずれにしても、今申しあげました四つの理由を意識しながら、全員が自己紹介と参加理由の発表を行って、相互理解を深めるきっかけにしたいと思います。』

 受講学生の自己紹介の内容は、次のようにしました。
  ・氏名、学年、所属講座、出身地・出身校
  ・薬学部と岩手医大の志望理由、自由科目選択理由、何でも一言

 全員の自己紹介が終了して、そこからORの核心部分へと進みます。
 目的、目標、目標達成の心構え・行動指針の着眼点の三点について、問いかけと対話による方向づけを行ないます。目的と心構え・行動指針は、現在の社会の状況や動きなどの背景的側面、視野拡大のためのヒントとなる考え方や着眼点を提示して、考えながら理解し納得するような進め方にしております。目的については、自由科目告知案内状に掲載した文言と、私の考える三つの視点(①使命感・資質・倫理観、②自ら学び考える、③震災の経験を伝えたいという薬剤師の思い)を交えながら、共有化と相互理解に努めました。
 心構え・行動指針については、将来を考える着眼点①かかりつけ薬剤師の未来は、薬剤師一人ひとりが作る、②事実情報の共有化、③だから、今、何をするのか、どう生きるのか)と方向性をメインに問いかけました。私見とお断りをした上で、将来を考えるキーワードとして“対患者&対生活者/地域ぐるみ&連携/自助&共助&公助”、これからの薬剤師像表現例としては、“薬の専門家/予防医療・在宅医療の推進者/町の科学者/身近な健康相談カウンセラー/多職種とのコーディネーター”と付け加えました。

 今回は、ちょうど1年前に実施いたしました岩手医科大学薬学部の自由科目「東日本大震災から学び考える“これからの薬剤師のあり方”」の初日のOR(90分)を題材として、私が日々追究している教育機会におけるオリエンテーションの重要性にも言及しました。
 最後に再確認したいと思います。
 ひとえに、教育機会におけるオリエンテーション(或いはガイダンス)の重要性に気づいて頂きたいのですスタート時点で、参加メンバーと推進スタッフが、目的と目標を、背景・理由を含めて共有化し相互理解することで、メンバーの自発的やる気を可能な限り引き出したいのです。その実現可能性を鑑みれば、お茶を濁す程度の10分前後では無理難題というものです。“急がば回れ”の発想で、今回紹介したような時間資源を確保したプロセスを経ることによって、効果につながる企業内教育の展望視野が拓けてくると思います。そんな可能性が、大いに期待できるのではないでしょうか。
                                                                         (2017.7.25記)

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