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エッセイ166:会議やグループ討議から得られる宝物

 私が考えて目指している人財育成像は、“自己啓発できる人財、内発的やる気を喚起し続ける人財”です。角度を変えてみれば、“問題意識を働かせて自問自答できる人財”と言い換えることもできそうです。考え方や行動に自信が持てなかった私の弱輩の時代には、周りの誰かに頼ることが多かったと思います。他力本願的な姿勢で、実体の持てない何かに頼っていました。目指す育成像に到達して一人前だとすれば、頼っているようでは一人前ではないということになります。やはり、二つのジリツ(自立&自律)がなければ、関所を通過することは叶いません。それが、私の見解であり実感なのです。自分自身で責任を取ることを覚悟した上で、セルフコントロール、セルフモチベーションしながら、自分で決めて、自分で行動するということを、一つひとつ、コツコツ積み重ねて一人前になるのだと思います。この二つのジリツ(自立&自律)について、別の視点で考えてみることにします。
 規模の大小を問わず、組織で仕事する、或いはチームで活動する場合、意思決定にしても、戦略・戦術の共有化にしても、メンバー同士のコミュニケーション機会のジリツが、活性化の鍵ではないかということです。そのコミュニケーションのあり方は、ICT技術の激変に伴って様変わりしています。ツールの多機能を駆使して、顔を合わせないで、迅速に情報交換することが可能になりました。今回のE森では、技術革新が進展し続けようとも、主要なコミュニケーション機会であることに変わりのないFace to Faceの会議、その会議におけるジリツについて考えたいと思います。研修や日々の仕事におけるFace to Faceのグループ討議や対話も含めております。

 本論に入る前に、“何故、グループ討議や対話も含めた会議の二つのジリツ(自立&自律)を取りあげたのか!”に触れておきましょう。
 限られた範囲ではありますが、薬学生との関わりや情報交換を通して、どうしても気になってしまう現実があるのです。10数年前は、ほんの小さな問題意識でした。しかし、その小さな問題意識が、6年前辺りからは急拡大し始めたのです。例えば、同好会やグループ活動の運営について、アドバイスを求められることがあります。思うように事が進んでいないから声をかけられるのでしょう。先ず、用件を聴くことから始めます。問題点を明らかにするためです。問題が抽出できたら、その問題の原因を探るために、いくつもの角度から客観的姿勢で聞き取りを行います。Q&Aの対話ですね。多くの場合“どうして、実行までそんなに時間を要するのだろうか?”、“どうして、意思決定まで至らないのだろうか?”という疑問に出会います。さらに、“メンバーが集まって、Face to Faceで報連相すれば解決するだろうに……”という結論が多いことに至るのです。
 何故、そうなってしまうのか?行き着いた想定要因の一つは、本質的な問題解決を避けていることにあると感じています。幹の議論を避けて、右往左往しているのです。他律要因を言い訳にして逃げているのです。結局、“直接会って、問題とキチンと向き合った議論をしていない”ことが、一番の要因なのです。そもそも信頼と安心のコミュニケーションは、Face to Faceの直接対話を繰り返して熟成されるものです。報告や連絡だけで済むことは別にして、SNSを通して解決できるほど簡単ではないことの方が多いのです。特に薬学生が卒後従事する比率の高い医療現場では、信頼と安心のコミュニケーションのあり方が問われます。専門知識を生かす土台は、信頼と安心のコミュニケーションなのです。現状のあり様を横目で眺めながら、コミュニケーション能力を鍛え直してくれる代表的機会の会議について、数回に分けて、いくつかの側面から考えてみたいと思い立ったのです。Face to Faceの会議でしか得られないものの多さに、是非気付いて頂きたいのです。

会議やグループ討議から得られる宝物

 今回の主旨からチョッピリ脱線しますが、私の考える会議出席者に必須の基本的心構えについて、最初に申しあげておきましょう。
 会議というのは、“顔を合わせて議論する場”のことです。政治の世界でよく使われる言い方ですが、“発議する場”であり“熟議をこらす場”のことです。会社などの組織には、明文化されているかどうかは別にして、いくつもの会議体が存在します。それぞれの会議では、その会議の目的に関わる議題が提案されます。出席者が議論に参加することは当然の責務ですが、提起された議題に対する意見、見解、論評は、その場にいれば自然と湧いてくるものではありません。テーマによっては湧いてくることもあるかもしれませんが、強い問題意識を働かせなければ、源泉かけ流しの温泉のような訳にはいかないと思います。私の場合はそうでしたし、今でも変わりありません。そんな私が、ある時気づいたのです。意見も見解も、自己責任意識で、自力で作るもの…、ということに。二つのジリツ(自立&自律)ですね。そうなるためには、「意見を言ってやろう」、「結果と理由・裏付けをセットにして、説得できる見解を発表しよう」と、参加が決まった段階から強く意識することだと思うようになりました。まさに心構えと行動をセットで正すことからスタートしたのです。それまでの私は、他人の考えに引っ張られる、決められないまま無言を貫くことが多かったと思います。だから分かるのですが、問題意識を集中させて意見を作り発しなければいけないのです。間違いや勘違いもありますが、発しない限りは間違いにも勘違いにも気付かないまま通り過ぎてしまいます。発することで、発言力のスキルアップが期待できるのです。
 前文で触れましたが、薬学生や若手薬剤師と共に学びながら、意見を作ることが苦手な方が多いと感じることがあります。早い段階からどうあるべきかに気づいて欲しいことから、私の見解を率直に申しあげることにしております。コミュニケーションツールや手段の急激な進展は、コミュニケーションのあり方にも大きく影響しています。また、薬剤師にとって喫緊の重要課題でもある地域包括ケアは、それまでの仕事のあり方の見直しが大前提なのです。垣根を越えた生活者視点の連携やコラボレーションなくして、実現不可能であることは明白です。私たちの仕事環境がいかに変わろうとも、信頼と安心のコミュニケーションの実現は、Face to Faceが基本であって、限られた少ない字数によるSNS対応では如何ともし難いと思います。それは、組織の重要なコミュニケーション機会である会議運営や他職種連携も同じではないでしょうか。会議から得られる効用、見えてくる着眼点を知ることで、Face to Faceの意義を感じて頂きたいと強く感じているのです。

 ここから、私が感じている会議やグループ討議から得られる宝物の紹介です。納得できるまでには、数年以上もの実体験が必要でしょう。しかし、実感できるようになれば、人間観や仕事観などの“○○観”を看脚下して見直すきっかけやヒントとなるでしょう。私の場合は、気づいて以降の生き方に影響を与えてくれたと思います。
 先ず、“参加者一人ひとりの考え方、行動理論、判断基準、行動姿勢、さらには人間観、仕事観、人生観などが分かる”ということです。また、何かがきっかけとなって“好み(食べ物、趣味、スポーツなど)を知る”ことも可能になります。人事評価などの人事関連、問題や不祥事に関する議題では、“人としてのあり方を考える機会”にもなります。“特定の人に対する好み(好き嫌い)が顔を出す”ことだってあります。一度や二度の会議では判断が難しいと思いますが、半年もすれば、“自分の考え方や行動理論に近い人は誰か、相違点の多い人は誰なのかが見えてくる”と思います。そういう意味では、“人を知る場であり、多様な情報を知る場”ではないでしょうか。さらに、“コミュニケーション能力を磨きあげる実戦的な機会”にもなります。“理解し易いプレゼンをする人、説得力のある人、訊き上手の人、傾聴力のある人など、参加者一人ひとりの個性を発見できる場”です。“積極的に発言する人、影響力のある人、状況に応じた対応力のある人が見える場”にもなります。議論が白熱して結論に至らない場合、“状況に応じてどのような話し方をしたらいいのか、どんな対応がベストなのかを学ぶ場”にもなり得ましょう。プレゼンテーションという意味では、“理解や共感へと導く言葉や言い回し、ボディランゲージを学ぶ”ことができますし、“NGの言葉遣いや態度・姿勢を学ぶ”ことも可能です。見方を変えると、“観察力を養う場”であり、“心を耕す格好の場”にもなるということでしょうか。
 以上のことは、アフターファイブのお付き合い、アルコールを媒介した飲み会にも通じると思います。下戸の私は酒席が苦手ですが、仕事場とは違った人としてのあり方を学ぶ場になりす。やってはいけないこと(=やられて嫌なこと)の多くは、会議よりもお酒の場で学びましたね。
 今回のE森は、Face to Faceの会話をもっともっと奨励することが目的となったようです。最近のSNS活用による誤解、勘違いなどのコミュニケーションギャップやコミュニケーションロスが気になります。特に、主語と述語、経過や理由などの省略は、ミスマッチの大きな要因だと思います。簡潔さは否定しませんが、正確さが最優先されるべきではないでしょうか。私の見解を叩き台として、コミュニケーション機会のあり方を再考することを期待しております。
                                                                 (2018.6.10記)

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