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岩手医大薬学部4学年特別講師

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 岩手医科大学薬学部の正規授業で講師を務めました。
 平成29年4月26日(水)の2時限(10:30 ~ 12:00)、4学年全学生対象の必須科目「医療倫理とヒューマニズム」の4回目(全13回)でした。講義テーマは、「地域医療における医療倫理」で、東日本大震災とその後の薬剤師の役割を知ることで、患者や生活者の安全を守り、信頼される薬剤師となるために必要な心構えを意識し醸成することが主要な狙いです。講義内容は、“①東日本大震災での薬剤師の活動/釜石方式ができた要因”、“②災害時、薬剤師に求められることは?”、“③平時に、準備しておくことは?”の三部構成で、まとめとして“私が考え実践している薬剤師&人間としてのあり方、仕事観、生き方”を、率直に申しあげました。
 「医療倫理とヒューマニズム」は、昨年からの新カリキュラムとお聞きしております。社会経験のない学生にとっては難しいテーマかもしれませんが、医療に関わる(想像以上に)幅広い課題と生命の尊厳を意識しながら、倫理或いはヒューマニズムの視点で学び考えることで、次年度から始まる実務実習につなげて頂きたいと感じました。
                                                   (中田 義仁)

エッセイ135:教育手法(能力開発手法)の特徴

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 前回と今回のE森は、教育担当者必須の基本知識を取りあげております。どれだけの薬剤師の教育担当者が、教育担当者必須の固有専門能力として知り得ているのだろうか…。常に、そんな問題意識がつきまとっているからです。
 今回は、能力を開発する教育手法(能力開発手法)の長所と短所、開発能力と教育手法(能力開発手法)の適合関係を考えてみたいと思います。

教育手法(能力開発手法)の特徴
 
 OffJT、OJT、自己啓発の三つが、代表的な教育手法(能力開発手法)となります。どなたもご存知だと思います。先ず、それぞれの定義を押さえておきましょう。
 OffJTは、Off the Job Training の略で、仕事の場を離れて、職務遂行に必要な知識・技能・態度を、計画的・総合的に育成する訓練のことを言います。代表的なのが、集合研修です。新入社員や、初任者(例えば、新任マネジャー、新任薬局長、新任部課長、新任取締役、新任執行役員など)には、必要不可欠で効果的は手法といえます。
 OJTは、On the Job Training の略で、上司や先輩が部下や後輩に対して、仕事を通じて、職務遂行に必要な知識・技能・態度を、計画的・重点的に育成する訓練のことです。これは、知る・分かるということだけではなく、体験を通して「身につける」という実践的手法で、とりわけ個別指導に最適な手法となります。特に、担当実務を通して自分の仕事や任務を完遂しなければならないという臨場感が、能力開発の効果を高めてくれるでしょう。現実に体験済みの方が多いと思います。“日々の出来事や仕事そのものが、最良の教材である”という意味は、そのような理由からも伺い知ることができます。
 自己啓発は、“自己責任で、自分のために、自分の力で、自律的自主的に推進する能力開発”のことです。教育の目的の一つが、「一人前のプロ」「一人で問題解決できるプロ」を育成するという観点にたてば、自己啓発できる能力こそ最優先されるべき能力開発テーマとなってきます。啓発の『啓』は“ひらくこと”、『発』は“出すこと、始めること、成長すること”ですから、自己啓発とは、自分自身の潜在能力・潜在意識を自力で発掘する自己完結型能力開発法と言えるでしょう。
 以上の定義も含めて、それぞれの能力開発手法の特徴を理解した上で、OffJT、OJT、自己啓発を意識的・計画的に連動させていけば、効果を確認できるより効率的な人材育成が実現できるということを、最初に申しあげておきたいと思います。

 それぞれの能力開発手法には、人間同様に長所もあれば短所(問題点)もあります。教育担当者や部下を持つ管理者は、それらを充分に理解していませんと、成果につながる企業内教育を企画し運営することなどできません。教育担当者や部下を持つ管理者の人材育成能力が未熟なために、能力開発手法の長所が活かされなかったり、短所を克服できなかったケースを、数多く経験してきました。そう考えると、社員に対して影響力を行使する立場の方々は、使命感を持って日々自己啓発して人材育成能力を強化することが求められます。その姿勢が、“背中で教える”(率先垂範)という非言語的影響力となるからです。

 話を戻して、私の30年間の体験を通してまとめた二つの見解を紹介したいと思います。
 先ず、開発したい能力と教育手法(能力開発手法)の適合関係です。(添付資料2-1【図1】)
 もう一つは、OffJTとOJTの長所と短所をまとめたものです。(添付資料2-1【図2】)
 いくつものマネジメント書やセミナー・研修から学び、実務での失敗や試行錯誤を繰り返しながら、教わったことや気づいたことに基づいた私の見解を列挙してみました。
 
 再度申しあげます。
 教育担当の皆さん、部下をお持ちの管理者の皆さんには、「開発したい能力と教育手法(能力開発手法)の適合関係」、「OffJTとOJTの長所&短所」を、先ずは理解して頂くことを提案します。その上で、それぞれの長所を上手に活かし、それぞれの短所を少しでもカバーする工夫をしながら、積極的な姿勢で行動に移してチャレンジすることです。そして、いつの日にか、自分自身の失敗の経験則に基づいたオリジナル版作成をお奨めしたいと思います。
 そういう積極的自己啓発こそが、人材育成能力、マネジメント能力ブラッシュアップの近道ではないでしょうか。“コツコツ努力すること”、“目の前にある小さな課題や目標を、倦まず弛まず一つひとつ地道に解決していくこと”が、唯一の成果実現の秘訣だと確信しております。

  *知識、技能、態度、問題解決能力は、前回のエッセイ(134回)を参照してください。
                                                             (2017.1.31記)

平成29年度なかたシップ1

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 中田薬局新生インターンシップ「なかたシップ」の実施報告です。
 4月2日(日)~4日(火)の日程で、3名の薬学部6年生が参加してくれました。首都圏から2名、地元から1名でした。遠路はるばるの来釜に、嬉しさ超全開の三日間でした。
 
[初 日]平成29年4月2日(日)
 ・被災エリア見学(釜石市、大槌町)
    平田仮設住宅・サポートセンター、両石、鵜住居宝来館避難道路、大槌町城山体育館など
 ・就職活動のあり方、進め方の研究

[二日目]平成29年4月3日(月)
 ・オリエンテーション
 ・これからの薬剤師のあり方、調剤薬局の方向性を考える
  *東日本大震災の釜石方式、チームかまいしによる地域包括ケア・他職種連携の実際など
 ・介護施設の見学
 ・ケアマネジャーによる医療介護連携事例紹介、他職種からの薬剤師への期待
 ・実務担当者(薬剤師)による居宅療養管理指導の実際
 ・二日目の振り返り、まとめ
 ・現役薬剤師との懇談会

[三日目]平成29年4月4日(火)
 ・オリエンテーション
 ・在宅医療における薬剤師の役割
 ・在宅医療患者宅同行見学
 ・特別養護老人ホームでの全職種参加のカンファレンス見学
 ・中田薬局採用スケジュール説明
 ・三日間の振り返り、まとめ、質疑応答、感想発表

 実施にあたりまして、患者様を始めとして、介護施設様、特別養護老人ホーム様のご協力を賜りました。心から感謝申しあげる次第です。有難うございました。
 参加されました3名の有意義な就職活動につながってくれることを祈りたいと思います。
                                                            (人材開発部 井上和裕)

なかたシップ(中田薬局インターンシップ)の紹介

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 弊社では、主に二つのねらいをプラットフォームとして、中田薬局だからこそ可能な薬学生向けインターンシップを企画いたしました。
 名付けて「なかたシップ」。インターンシップの理念の具現化、本質追究を旗印として掲げて、こうありたいと思い描いているインターンシップを立ち上げました。
 ねらいの一つは、正に就職活動(以下、就活)の本質を考えて頂くことです。就活というのは、企業研究や仕事研究も含みますが、一番重要なことは、「仕事の本質(何のために仕事をするのか)を考えて、その重さを覚悟すること」です。その上で、「どのような人間になりたいのか、どのような薬剤師を目指すのか、それらを今持っている能力で意思決定すること」です。ここが大きなポイントだと考えております。
 二つ目は、難しいテーマになりますが、これからの自分自身の生き方を深耕することです。これからの人生の本質を考えること、それも掘り下げて考えることです。“どこの場所で、何をライフワークとして社会貢献するのかを決めて欲しい”ということです。
 この「なかたシップ」の告知用チラシを作成いたしました。添付ファイルをご覧頂きたくお願い申しあげます。興味をお持ちに方は、担当者まで何なりとご相談ください。
                                                                 (人材開発部:井上)

エッセイ134:知識&技能&態度はトライアングルの関係

 後輩指導、部下育成などの人材育成をテーマとした教材の編成は、5年ほど前からの私のライフワークの一つになりました。
 組織活性化の関心事はいろいろあれど、組織を構成するメンバー一人ひとりの個別育成が大きなウェートを占めてきます。薬剤師の場合、人材育成の基本を学ぶ機会が皆無に近いのが現状でしょう。そのような実情から、私が関わりを持ちながら共に学び合っている仲間には、人材育成のイロハを学ぶ機会を意識して用意しております。数年前からは、私が主宰する学び塾の重点テーマの一つになりました。
 学ぶ機会において、使う言葉の解釈がバラバラでは、学びの効果が大きく後退してしまいます。同じ土俵に立つ仲間が使う言葉の共通理解と共有化が、教育機会のより高い成果に寄与します。今回のE森は、その教育機会のために作成した教材の中から、知識と技能と態度の定義と、それらの関連を取りあげてみたいと思います。人材育成という実務の難題を、ささやかでも後押しする種蒔きの場にしたいという思いを表したいのです。

知識&技能&態度はトライアングルの関係

 ある程度のキャリアを積んだビジネスパーソンの場合、仕事遂行上必要な能力を考える時、現在担当している仕事だけではなく、将来担当する可能性のある仕事も含めて広く考える必要があります。仕事そのものの内容や方法がどんどん変化する時代ですから、将来の仕事に備えての能力開発も必要と考えざるを得ないからです。
 ここでいう「能力」は、最も広い意味での能力のことで、その内容は大別して、知識・技能・態度に、問題解決能力を含めた四つと考えてみたいと思います。能力をこのように分類する主たるねらいは、それぞれの能力を開発するための教育方法に異なることがあるからです。それぞれの能力の教育方法については、次回のE森で言及したいと思います。
 以下、学び塾用にまとめました“人材育成の基本知識”から引用させて頂きます。


 まず知識“知っている”ということ)には、実務知識と基礎知識、さらに問題解決に必要な周
辺知識が含まれる。
 実務知識とは、担当する実務作業を遂行するために直接的に必要となる知識のことである。薬剤
師の場合、調剤業務、服薬指導、薬歴管理、在庫管理、医薬品分類、医薬品知識、病態生理、個々
の患者のニーズ、関連法規、ITに関する知識などが該当する。経理であれば、管理会計、簿記、伝票処理手続き、取引先情報に関する知識となる。店舗運営であれば、クリンリネス・伝票処理手
続き・前進立体陳列をはじめとした店舗運営手順、商品分類、商品知識、商圏特性、顧客のニーズ、流通関連法規等に関する知識などになってくる。実務を正確に遂行していくためには不可欠のもの
である。
 基礎知識とは、体系的に整理された知識、原理・原則等の知識で、実務作業をより広い視野で総合的に判断する時に役立つ知識である。この知識によって、実務の応用性や客観性が高まって
くる。患者の心理、調剤報酬の仕組み、経済や業界に関する体系的知識等がそれに当たる。店舗で
あれば、消費者の購買行動や購買心理、市場や経済の仕組み、流通に関する体系的な知識等がそれに当たる。これらは、バイヤー、スーパーバイザーも同様で、さらにマーケティング、マーチャンダイジングに関する知識も含まれる。
 また担当する職務に関係なく、経営理念や経営方針そして会社概要、コミュニケーション、プレゼンテーション、PDCAサイクル、6W3H、ビジネスマナーに関する知識は代表的な基礎知識
となってくる。

 技能というのは、知識を行動に変えるための方法と言われる能力である。“知っている”だけではなく、“出来る”ということだ。仕事の腕前とか知恵、あるいはツボとかコツ、ノウハウと言われる能力で、これには身体的技能と知的技能の2つが含まれる。
 身体的技能とは、反復や繰返しで身につけることができる能力で、調剤技術・薬歴作成・服薬指導が出来るとか、調剤機器の操作、ワープロを一分間で何字打てる、レセコン操作を決められた通りに出来る、というように身体的熟練に関する能力である。
 知的技能とは、身体的技能が身体の熟練であるのに対して精神的な習熟能力で、いわゆる「仕事の知恵」と言われるものだ。例えば、状況分析力や状況判断力、洞察力、企画力、実行力、管理力、表現力、説得力等が広くこれに含まれてくる。

 態度というのは、広い意味での「物事に対する受けとめ方」のことで、意欲、意志、物の見方(着眼点)・感じ方(感受性)、問題意識、価値観、あるいは行動理論や行動パターン等も含んでいる。態度は、その人独自の情緒的で非合理的な側面を多分に含んでいるものだ。例えば「仕事に対する責任感が強い」「仲間との協調性がない」「上司に対して従順である」「会社に対する忠誠心がある」「視野が狭い」「向上心が旺盛である」「出来ない言い訳が多い」……といったようなものは全て態度に含まれる。
 人間の能力開発において、この態度がきわめて重要な働きをする。というのは、意欲や意志が強くなければ、知識の修得も技術の体得も出来ないからだ。また物の見方や行動理論は、物事に対するその人の判断基準になるから、それが不健全であれば知識や技能を正しく行使することが出来なくなってしまう。その意味で、態度教育こそ教育の原点であると言われる所以となってくる。

 最後は問題解決能力である。これは、問題を積極的に見つけ出したり解決したりする能力で、広い意味にとらえることとする。この問題解決能力の発揮には、知識・技能・態度の三者が一体となって、総動員で使われる。バラバラでは問題は解決しない。例えば、どんなに知識があっても、それを上手く使いこなす技能と意欲がなければ問題は解決できないし、どんなに意欲があっても、知識と技能が伴わなければ行動は空回りをしてしまう。知識と技能がどんなに優秀であっても、行動する意欲と意志がなければ、その能力は結局のところ宝の持ち腐れで終わってしまうことになる。
 このように問題解決能力とは、それらの個々の能力が有機的に統合された能力なのである。そういう意味で、問題解決能力は知識・技能・態度の三つの能力が一体化された、「総合的な能力」といえる。


 問題解決能力の項でも触れておりますが、知識・技能・態度には密接な関係があります。育成責任を有する皆さんには、その密接な関係を常に意識して、有効で有益な方途を選択して頂きたいと思います。

   知らないこと(知識)は出来ないし(技能)、やる気にもならない(態度)。
   やる気があれば(態度)、いろいろなことを知ろうとするし(知識)上達も早い(技能)。
   出来ることは(技能)やる気も出るし(態度)、勉強もするようになる(知識)。

 
 また、具体的な能力要件は、時代と共に変化します。先を見通しながら、適宜見直すことも忘れてはいけません。
 さて、どのように思われましたか?どのようにお考えでしょうか?
                                                                          (2017.1.22記)

エッセイ133:私の初心からの賜りもの

 元祖ID(Important Date)野球を実践した野村克也氏は、名選手であり名監督でした。ボヤキ風のものから、卓見と感心させられるものまで、数多くの野村語録なる名言が存在します。私にとりましては、ビジネスパーソンの行動指針として共感できるものがいくつもあるのです。
 その中には「原因と結果の関係」に相通じる語録がありました。
 「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」です。後半部分の“負けに不思議の負けなし”は、正に『悪因悪果、自因自果』であり、ビジネスに置き換えると“失敗に不思議の失敗無し”なのです。悪因悪果、自因自果を肚に落とし、成功確率の高い問題解決の基本手順(PDCAサイクル)をキチンと回すこと、スパイラルアップすることが、学習効果の高い集団のあるべき姿なのだと思います。正に仕事の進め方の1丁目1番地ではないでしょうか。
 能役者・能楽師の世阿弥の言葉に、「初心忘るべからず」というのがあります。この有名な格言の意味は、「自分の芸が未熟であったことを、いつまでも忘れるな」なのです。その真意は、芸は未熟なのに人気が先行して、その結果“芸が優れている”と勘違いしてしまう、そんな若い役者が出てくることがあります。その役者に対する戒めが、世阿弥の本意だったのです。
 私には、忘れられない初心、忘れてはならない初心が、数えきれないくらいあります。特に昭和60年代から平成初期までの期間は、私の初心の溜まり場でもありました。人事教育の仕事に携わっての30数年間を振り返って、さらに多くの初心を見いだすことができます。新社会人なりたての昭和44年(1969年)代まで遡りますと、赤面ものの未熟な姿のオンパレードになりそうです。この年になっても、未熟と思しき顔が出てきます。
 だから、『謙虚』と『真摯』の四文字を心に刻んで、一生学ぶ人であり続けようと思います。

 今回のエッセイは、私の初心からの学習成果事例を紹介したいと思います。エッセイ40&41回の再来です。

私の初心からの賜りもの~仕事の進め方の基本的フォルムの修得
 
 以前のエッセイでは、“一生忘れてはならない私の初心”の具体例をいくつか披露させて頂きました。時を経て振り返って実感したそれらの初心(未熟な私)は、上を向いて前に歩を進める推進力となってくれたのでした。言葉に表せそうにもない閉塞的うつ症状を感じながらも、何とか踏ん張って、目の前の仕事や課題から逃げずに向き合って対処しているうちに、背中をそっと押してくれる支援的賜りものが増えていることがありました。それらは、後々になって気づいたものがほとんどでしたが。
 実力も精神力も十分に備わっていなかったひよこ時代は、課題を提示されて直ぐに、何をするのかという目先の方法論だけが気になりました。“何よりも競争に負けられない、誰よりもスピード最優先”が大手を振っていた時代でしたから、先手必勝しか頭にありません。一番に気になるのが周りの方々の対処法で、それを裏返して考えてみれば、自分自身の未熟さ、自信の無さの表れだったと思います。偏狭な視野からの思いつきに先導されて、結局、成果を見出せずにスタート地点をウロウロしている自分がおりました。
 専任教育担当なりたての頃の仕事のあり様も、同じ轍を踏んでいる状況でした。もう1年もすれば不惑世代に手が届く年齢にも拘らず、何とも情けない状態だったと思います。その頑迷固陋(がんめいころう)な状態に楔を打ち込んでくれたのは、藁をもすがる思いで学び続けている中から賜ったものでした。そんな実態との縁切りが成立するまでに、5年以上は要したかもしれません。サヨナラするために、延べ数百万円以上の自己投資も厭いませんでした。“今が人生の瀬戸際”という危機感と、“こんなことで負けてたまるか”という一途な目標必達魂が、学び続ける原動力になっていたのだろう、と振り返っております。

 楔を打ち込んでくれた賜りものを一言で表現すれば、“仕事の進め方の基本的フォルム(型)”の重要性を見出すことができたこと、それらが徐々に身についたことでしょうか。新たな課題に取り組む時、何ものにも代え難い賜りものであることを納得させてくれたのです。
 以下、その具体的な中身を列挙してみましょう。

 最初の具体的な賜りものは、仕事を進める上での考え方、あり方、姿勢の基盤の必要性に気付かされたことでした。その根幹となったのが教育理念です。数年もの間、何度も何度も練り直しました。「教育の基本理念(人財育成の着眼点)」(エッセイ122・123回)、「教育活動の基本原則」(エッセイ124・125回)として、現在に至っております。さらに、“教育とは何か?”という自問への回答として、「EDUCO TREE」(エッセイ119回)を植えました。

 仕事遂行上の賜りものには、次のような行動指針が挙げられます。
 基本中の基本は、PDCAサイクルをスパイラルアップし続けることに尽きます。そして、6W3H、報連相、成功確率の高い問題解決の基本手順の要点などを、常にお供に従えることです。
 実行する段になったら、準備万端整えることを、何が何でもやり遂げることです。研修講師であれば、一ヶ月前にはいつでも実施可能の状況にすることを、イの一番の指針と決めました。

 どのような形態であれ、教育機会を企画する時には、「研修企画検討表」に則って進めることを基本原則としました。教育問題の兆候と教育ニーズを四直四現主義で明らかにするところから始めます。実施することが目的の教育機会は、無駄以外の何物でもありません。それだけは、絶対に避けなければいけませんね。
 GOサインの可能性が見えてきたら、ねらい(目的、目標、意図)を明確にすることが何よりも重要となります。平行して、教育機会全体を小説・映画に見立てて、一つの作品としてプロデュースします。ねらいは全体だけではなく、各単元、各カリキュラム別に明らかにしていきます。教材や資料は、ねらい実現に沿って念入りに用意します。これらの作業には、相当の時間を要することになります。
 講師として皆さんの前に立つ時には、私の基本スタンスと進め方を明示することから始めます。A-4版1枚にまとめた“WELCOME、いのうえ塾へ”を配布して、共感・共有を意識しながら理解して頂くことに注力します。
 研修中の基本スタンスは、カウンセラー、ファシリテーター的な引き出し役、メンターという助言役、またある時はガイド、トレーナーとしての道案内役、場合によっては厳父役・慈母役というように、状況に応じた役割を心掛けております引き出すための「グルグル回りの対話」は、自然体でやれるレベルになりました。考えては自問自答することを常に要求することで、自己動機づけ意識を引き出したいのです。

 こうやって数えあげれば、かなりの賜りものの存在に気づかされます。それらが、今後とも基本的フォルムであり続けるのかは分かりかねますが、何事も決め付けることなく、状況に応じて見直す度量を持って日々対処することで、本質を外さないで考えられるようにもなりました。本質を外さないで状況対応することが可能になりました。現在の取り組みも、E森の執筆も、身についた基本フォルムからスタートしていると思います。状況が一変することも視野に入れながら、常にベストを目指して対処すると決めております。
 気がつけば、周りの方々がどうであれ、常に熱意と本気で全力投球することから逃げない私になれたと思います。また、突発的なアクシデントへの対応、スケジュールや方向性の変更への対応も、焦ることなく余裕を持ちながら全体最適で対処することが可能になりました。それらこそが初心からの貴重な賜りもののような気がしてなりません。近年とみに感じております。

                                                       (2017.1.10記)

エッセイ132:教育担当者に求められる基本要件(その2)

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 古希の誕生日からひと月になりました。いくつもの経験が積み重なり、それらが整頓されて積み上がったから、“それなんだよね。…… ”と思うことが増えてきたように感じます。エッセイの中で、そんな風景を自然と呟くことが一再ならずありました。これからもコツコツと右肩上がりで推移させたい、と考えております。
 潜在能力が開花したと実感する、“アッ、あれだ……”と気づく、そして“これで行こう…”と方途が見つかる、…… 。経験に優るものはない、と実感する時です。
 一方、何かを知りたければ、容易に検索できる時代になりました。経験の有無にかかわらず、ネットで検索した情報をコピペ(丸写し)しただけで‟理解できた“と勘違いしているケースが、非常に気になります。その行為に何の疑問も感じない実態は、もっと気がかりでなりません。だからでしょうか、10数年前からは、何よりも行動する(=やってみる)ことを奨励するようになりました。
 しかし、“経験に優るものはない”といっても、私自身の経験が他の方々に当てはまるとは限りません。そのような当たり前の理由から、同じような問題であっても、先入観で安易に当てはめることは戒めなければなりません。年配者の自慢話と押しつけにはウンザリでしょうから、観察力、傾聴力、感受性、想像力をミックス動員しながら、視野を広げて考えるように方向付けしております。そうすることで、状況対応の引き出しを増やしていけるのではないでしょうか。
 今回のE森は、教育担当者に求められる基本要件の2回目になります。これらは、私なりの経験と学びの産物です。この仕事に従事して20年目のまとめレポートを基に、何度か改廃して現在の内容に至っております。これも自力で策定されることをお奨めします。

教育担当者に求められる基本要件(その2)
Ⅱ.教育担当の行動指針  *詳細は添付ファイルを参照願います。

 1.人間的魅力を高めて、影響力を発揮できるようにすること
    ※周りの人たちに意識変革・行動変革することを発信し、影響を与え続けられる人になる!

 2.“必活仕掛け人”、“水先案内人”であり続けること
 3.オンリーワンのノウハウを作りあげる先駆けになること
 4.半歩先を歩いて、企業を取り巻く経営環境の変化・問題に敏感に反応すること

Ⅲ.求められる心構え・態度・スキル

 1.心 構 え
  (1)赤々と燃える成長願望を持ち続ける
  (2)自ら率先して学ぶ人になる:教うるは学ぶの半なり
  (3)良好な人間関係を作る:ヒューマンリレーション作りの達人になる
       *相互理解 → 相互受容 → 相互信頼 → 相互支持 
  (4)分りやすく的確・適切な言葉で話す:考えが貧弱だと、言葉も貧弱で分かりにくい
  (5)理解と納得の話し方をする:必ず結果とその理由・根拠をセットで
  (6)基本をよく知り、マネジメントに精通し、顧客の声によ~く耳を傾け、
          洋の東西の哲学(倫理)を知り、自社・他社を研究し、社員を知る
  (7)人のやる気の起こし方を知り、皆が生き生きとしている風土を目指す
  (8)人材育成・企業内教育に関する理論・技法を身につけ、言行一致を実践する
  (9)教育の要諦は、諦めずにやり続ける:「継続は力なり」、「積み重ねは力なり」、「根気は力なり」
  (10)「我以外皆我師也」という謙虚で真摯な共育魂を持つ

 2.態 度
  (1)情熱・本気
  (2)誠実・正義感・倫理観
  (3)共に考える姿勢:教育は共育なり
  (4)自分自身を客観的に観察できる冷静さ:離見の見
  (5)謙虚に看脚下:教わるとは?

 3.ス キ ル
  (1)教育理念と教育体系の構築、策定:教育とは?
  (2)教える内容の深い知識と技能:相手を納得させ、やる気を喚起する
  (3)教え方の知識と技能
  (4)人をひきつける対人関係能力、心に浸み込んでいくコミュニケーション能力
  (5)健全で柔軟な判断力
  (6)問題意識、好奇心、感受性、想像力
  (7)的確で適切な問いかけ、問題提起:「応答は問いに依存する」

                                                                      (2016.11.10記)

エッセイ131:教育担当者に求められる基本要件(その1)

 前回のエッセイでは、私の考える“企業内教育担当者の役割・機能”を取りあげました。今回から2連続で、さらに掘り下げた具体的な役割・機能を提案したいと思います。
 このレベルの見解を公言するまでには、相当な質量の経験と試行錯誤の積み重ね、幅広い職務遂行能力の積み上げが必要だと感じております。数年では難しいでしょう。10年は要すると思います。ここは、“僕の前に道はない。僕の後ろに道は出来る”(高村光太郎)、“隗より始めよ”(戦国策)、と肝に銘じてチャレンジしてください。
 「人材育成の基本課題は何か?」、「教育担当の行動指針」、「求められる心構え・態度・スキル」、「教育担当の能力要件」の4部構成ですが、今回は企業内教育担当者の役割の具体的課題編になります。

教育担当者として求められる基本要件(その1)

Ⅰ.人材育成の基本課題は何か?

1.社員一人ひとりの考え方や心構えを引き出すこと、革めること。そして、“自発的やる気”を喚起すること。
  
  (1)“健全な心構え・判断基準”を、しっかりと肚に落とすこと、落とさせること
     ・“人間尊重(Yの心)”を基本的信念に
     ・4S志向
        CS(顧客満足)/DS(生活者満足)/PS(患者満足)/ES(従業員満足)
     ・自己責任意識、目標必達魂、チャレンジ(リスクテイク)精神
     ・CSR(企業の社会的責任)の追求
     ・サステナビリティー(持続可能性)の追究
     ・コンプライアンスの必然性の理解と率先垂範
  (2)必ず行動変革へ結びつけること:仕事が教材(On the Job Learning)
     ・方針と目標を明確にして、全員に明示する
     ・目標達成のための方途を考える、考えさせる
     ・目標と具体的計画を合意する
     ・目標の進捗状況を確認しながら、納得するまで共有化する
     ・対話を通して、“背中を押す”、“誉める・叱る”、“勇気付ける”
     ・納期がきたら客観的に評価する。その結果を理由を添えてフードバックする
        *やる気=自己確信(自信)×自己動機づけ

 2.心を耕して、人間性を磨くこと。
        *自助力(自力で生きていける力)と共助力(周りの人と一緒にやっていける力)を身につけて、 
                                               “いつでもどこでも誰とでも協働できる人”を育てる。
   
  (1)謙虚に素直に看脚下することの習慣化、当り前化
  (2)利害関係にとらわれない、お役立ちの心を持つこと
  (3)人の痛みを知り、その痛みを自分事として、自己を厳しく律すること(自律心)
  (4)個人の尊厳を大切にし、権威主義に陥らないこと(倫理観、道徳観)
  (5)社会の秩序を維持し、社会や会社の諸規程・規律を率先して遵守すること(規律性)
  (6)言ったことや決めたことは、必ず実行に移すこと(誠実)

 3.問題発見能力と問題解決能力を高めること。そして、継続的業績向上に結びつけること。
   
  (1)仕事の進め方の基本であるPDCAサイクルをスパイラルアップすること
  (2)問題意識と感受性・好奇心を引き出すこと
     ・3W(なぜ・なぜ・なぜとWHYを3回繰り返す)思考の習慣化
     ・“何かおかしい、ちょっと変だ”と感じたら、立ち止まって視る/観る/診る
     ・ノーサイドミーティングを日々始終化、当たり前化
  (3)問題提起をする時は、必ず対案をセットにすること
  (4)試行錯誤を奨励すること、歓迎すること

      ※成果・成長=心構え(行動理論)×職務遂行能力×行動量
                      (自律要因)

  (5)失敗にこそ宝物が隠されていることを共有化して、勇気をもって問題解決の基本手順を稼働すること、させること

      ※成功確率が高い「問題解決の基本手順」
         【手順1】問題を把握する
         【手順2】原因を分析する
         【手順3】対案を列挙し整理する
         【手順4】比較選択して対案を選択する
         【手順5】選択案の実行計画を立て、全体をチェックする
         【手順6】計画に沿って、実行する
         【手順7】定期的に、進行状況を検証する


                                                                      (2016.10.28記)

就職活動のあり方、進め方の本質を考える会

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 岩手医科大学薬学部薬学研究会とのコラボレーション報告です。
 平成29年2月12日(日)9:00 ~ 12:30までの3時間半、矢巾キャンパスゼミナール室において、特別企画「就職活動のあり方、進め方の本質を考える会」が実施されました。会の企画・運営・コーディネートは、弊社の人材開発部長井上和裕(EDUCOいわて・学び塾・種蒔き塾主宰)が担当し、参加対象が5年生と4年生でした。
 この特別企画は五部構成で、①オリエンテーション、②薬学部卒者・薬剤師の職業いろいろ、③何故、就職活動のあり方・進め方について言及しようとしているのか。何故、20年近くも薬学生の就職活動の実態に異論を唱えて問題提起しているのか、④納得のいく就職活動のあり方、進め方の着眼点の例、⑤就職活動をどうするか、の流れで進められました。
 今回のコラボレーション実施の背景として、「非正規社員の働き方の意識と実態に関する調査」(日本経営者協会)から見えてくる薬学生の就活実態の共通点が非常に印象的でした。また、三つの狙い(以下参照)が明確でインパクトがありました。
 ・自分自身の将来の方向性を追究して、自主的・能動的で納得のいく就職活動の実現を目指す。
 ・将来悔いることのない職業選択のあり方や進め方を実践するためのヒントや着眼点を考える。
 ・就職活動における様々な情報源とその活用のあり方を学び、企業の真の姿の探索方法を見つける。

 日頃から井上が一先輩薬剤師として持ち続けている問題意識が、今回の特別企画の根底にありました。次の井上の問いかけに、現役薬学生が就職活動でどう反応するのか、それを見届けたいと思います。

“今の多くの薬学生にとって国家試験合格が最大の目標ではあると思いますが、6年制になったことの主旨や薬学部卒者に求められる任務・職能の方向性を鑑みれば、学生時代に将来像と向き合ってキャリアデザインを考えて明確にすることは、車の両輪であるべきではないでしょうか。これからも問いかけ続けたいと考えております”

エッセイ130:私の考える“企業内教育担当者の役割・機能”

ファイル 159-1.pdf

 今回から数回にわたりまして、私(井上和裕/EDUCOいわて・学び塾・種蒔き塾)の考える教育担当者の役割、求められる心構え、能力要件などを提案したいと思います。教育理念を実現するために、プロと称される教育担当者として、どうしても身に着けておきたい行動指針、具体的能力に関する内容でもです。
 このような本質的側面を、企業の垣根を越えて、同じ職務に携わる同志として、お互いの考えや思い、苦悩などを出し合いながら、前向きな議論が実現可能になることを切に願っております。胸襟を開いて切磋琢磨し合うべき時代なのです。

私の考える“企業内教育担当者の役割・機能”

●役 割 
 1.継続的教育テーマの策定                       
    ①顕在化している教育ニーズの把握                 
    ②潜在化している教育ウォンツの発掘                
 2.全社的教育風土作り
    ①教育理念の策定と浸透                       
    ②教育体系の策定とメンテナンス
 3.人材育成機会の企画・運営・フォロー                
    ①個別育成計画に対応した教育プログラム
    ②ニーズ・ウォンツにマッチした教育機会(職種別・階層別・ニーズ別)
    ③定型コース                                
    ④OJT(仕事・MT・会議など)
    ⑤目標によるマネジメント                        
    ⑥仕事研究的チーム活動
 4.研修インストラクター                           
 5.カウンセリングの実施
 6.ニーズに応じた支援、助言、指導の実践
 7.経営改善方法の提案と仕組み作り
 8.経営補佐(経営者の懐刀) 
 9.同業他社、異業種とのコラボレーション

●機 能
  ディレクター/インストラクター/ファシリテーター/メンター/カウンセラー/ガイド/コーチ/コーディネーター

  各組織が主人公となって、組織ぐるみで人材育成に取り組み、活き活きとした組織風土作りを企画・運営・推進する演出家(ディレクター)であり、
  社員一人ひとりが、自らを主人公と位置づけ、能動的に自問自答しながら潜在能力を引き出す促進役(ファシリテーター)であり、
  壁にぶつかった時の助言者(メンター)、聴き手(カウンセラー)、道案内人(ガイド)であり、
  『やって見せて、言ってきかせて、やらせてみて、ほめてやらねば人は動かじ』を、いつでもどこでも実践している指導者(インストラクター、コーチ)であり、
  人と人、人と情報、人とノウハウ、人と資源を結びつけて相互理解、相互啓発を推進する調整者(コーディネーター)である。

         *上記体系図:添付ファイル参照
                                                                     (2016.10.15記)

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