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なかたシップ(中田薬局インターンシップ)の紹介

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 弊社では、主に二つのねらいをプラットフォームとして、中田薬局だからこそ可能な薬学生向けインターンシップを企画いたしました。
 名付けて「なかたシップ」。インターンシップの理念の具現化、本質追究を旗印として掲げて、こうありたいと思い描いているインターンシップを立ち上げました。
 ねらいの一つは、正に就職活動(以下、就活)の本質を考えて頂くことです。就活というのは、企業研究や仕事研究も含みますが、一番重要なことは、「仕事の本質(何のために仕事をするのか)を考えて、その重さを覚悟すること」です。その上で、「どのような人間になりたいのか、どのような薬剤師を目指すのか、それらを今持っている能力で意思決定すること」です。ここが大きなポイントだと考えております。
 二つ目は、難しいテーマになりますが、これからの自分自身の生き方を深耕することです。これからの人生の本質を考えること、それも掘り下げて考えることです。“どこの場所で、何をライフワークとして社会貢献するのかを決めて欲しい”ということです。
 この「なかたシップ」の告知用チラシを作成いたしました。添付ファイルをご覧頂きたくお願い申しあげます。興味をお持ちに方は、担当者まで何なりとご相談ください。
                                                                 (人材開発部:井上)

エッセイ134:知識&技能&態度はトライアングルの関係

 後輩指導、部下育成などの人材育成をテーマとした教材の編成は、5年ほど前からの私のライフワークの一つになりました。
 組織活性化の関心事はいろいろあれど、組織を構成するメンバー一人ひとりの個別育成が大きなウェートを占めてきます。薬剤師の場合、人材育成の基本を学ぶ機会が皆無に近いのが現状でしょう。そのような実情から、私が関わりを持ちながら共に学び合っている仲間には、人材育成のイロハを学ぶ機会を意識して用意しております。数年前からは、私が主宰する学び塾の重点テーマの一つになりました。
 学ぶ機会において、使う言葉の解釈がバラバラでは、学びの効果が大きく後退してしまいます。同じ土俵に立つ仲間が使う言葉の共通理解と共有化が、教育機会のより高い成果に寄与します。今回のE森は、その教育機会のために作成した教材の中から、知識と技能と態度の定義と、それらの関連を取りあげてみたいと思います。人材育成という実務の難題を、ささやかでも後押しする種蒔きの場にしたいという思いを表したいのです。

知識&技能&態度はトライアングルの関係

 ある程度のキャリアを積んだビジネスパーソンの場合、仕事遂行上必要な能力を考える時、現在担当している仕事だけではなく、将来担当する可能性のある仕事も含めて広く考える必要があります。仕事そのものの内容や方法がどんどん変化する時代ですから、将来の仕事に備えての能力開発も必要と考えざるを得ないからです。
 ここでいう「能力」は、最も広い意味での能力のことで、その内容は大別して、知識・技能・態度に、問題解決能力を含めた四つと考えてみたいと思います。能力をこのように分類する主たるねらいは、それぞれの能力を開発するための教育方法に異なることがあるからです。それぞれの能力の教育方法については、次回のE森で言及したいと思います。
 以下、学び塾用にまとめました“人材育成の基本知識”から引用させて頂きます。


 まず知識“知っている”ということ)には、実務知識と基礎知識、さらに問題解決に必要な周
辺知識が含まれる。
 実務知識とは、担当する実務作業を遂行するために直接的に必要となる知識のことである。薬剤
師の場合、調剤業務、服薬指導、薬歴管理、在庫管理、医薬品分類、医薬品知識、病態生理、個々
の患者のニーズ、関連法規、ITに関する知識などが該当する。経理であれば、管理会計、簿記、伝票処理手続き、取引先情報に関する知識となる。店舗運営であれば、クリンリネス・伝票処理手
続き・前進立体陳列をはじめとした店舗運営手順、商品分類、商品知識、商圏特性、顧客のニーズ、流通関連法規等に関する知識などになってくる。実務を正確に遂行していくためには不可欠のもの
である。
 基礎知識とは、体系的に整理された知識、原理・原則等の知識で、実務作業をより広い視野で総合的に判断する時に役立つ知識である。この知識によって、実務の応用性や客観性が高まって
くる。患者の心理、調剤報酬の仕組み、経済や業界に関する体系的知識等がそれに当たる。店舗で
あれば、消費者の購買行動や購買心理、市場や経済の仕組み、流通に関する体系的な知識等がそれに当たる。これらは、バイヤー、スーパーバイザーも同様で、さらにマーケティング、マーチャンダイジングに関する知識も含まれる。
 また担当する職務に関係なく、経営理念や経営方針そして会社概要、コミュニケーション、プレゼンテーション、PDCAサイクル、6W3H、ビジネスマナーに関する知識は代表的な基礎知識
となってくる。

 技能というのは、知識を行動に変えるための方法と言われる能力である。“知っている”だけではなく、“出来る”ということだ。仕事の腕前とか知恵、あるいはツボとかコツ、ノウハウと言われる能力で、これには身体的技能と知的技能の2つが含まれる。
 身体的技能とは、反復や繰返しで身につけることができる能力で、調剤技術・薬歴作成・服薬指導が出来るとか、調剤機器の操作、ワープロを一分間で何字打てる、レセコン操作を決められた通りに出来る、というように身体的熟練に関する能力である。
 知的技能とは、身体的技能が身体の熟練であるのに対して精神的な習熟能力で、いわゆる「仕事の知恵」と言われるものだ。例えば、状況分析力や状況判断力、洞察力、企画力、実行力、管理力、表現力、説得力等が広くこれに含まれてくる。

 態度というのは、広い意味での「物事に対する受けとめ方」のことで、意欲、意志、物の見方(着眼点)・感じ方(感受性)、問題意識、価値観、あるいは行動理論や行動パターン等も含んでいる。態度は、その人独自の情緒的で非合理的な側面を多分に含んでいるものだ。例えば「仕事に対する責任感が強い」「仲間との協調性がない」「上司に対して従順である」「会社に対する忠誠心がある」「視野が狭い」「向上心が旺盛である」「出来ない言い訳が多い」……といったようなものは全て態度に含まれる。
 人間の能力開発において、この態度がきわめて重要な働きをする。というのは、意欲や意志が強くなければ、知識の修得も技術の体得も出来ないからだ。また物の見方や行動理論は、物事に対するその人の判断基準になるから、それが不健全であれば知識や技能を正しく行使することが出来なくなってしまう。その意味で、態度教育こそ教育の原点であると言われる所以となってくる。

 最後は問題解決能力である。これは、問題を積極的に見つけ出したり解決したりする能力で、広い意味にとらえることとする。この問題解決能力の発揮には、知識・技能・態度の三者が一体となって、総動員で使われる。バラバラでは問題は解決しない。例えば、どんなに知識があっても、それを上手く使いこなす技能と意欲がなければ問題は解決できないし、どんなに意欲があっても、知識と技能が伴わなければ行動は空回りをしてしまう。知識と技能がどんなに優秀であっても、行動する意欲と意志がなければ、その能力は結局のところ宝の持ち腐れで終わってしまうことになる。
 このように問題解決能力とは、それらの個々の能力が有機的に統合された能力なのである。そういう意味で、問題解決能力は知識・技能・態度の三つの能力が一体化された、「総合的な能力」といえる。


 問題解決能力の項でも触れておりますが、知識・技能・態度には密接な関係があります。育成責任を有する皆さんには、その密接な関係を常に意識して、有効で有益な方途を選択して頂きたいと思います。

   知らないこと(知識)は出来ないし(技能)、やる気にもならない(態度)。
   やる気があれば(態度)、いろいろなことを知ろうとするし(知識)上達も早い(技能)。
   出来ることは(技能)やる気も出るし(態度)、勉強もするようになる(知識)。

 
 また、具体的な能力要件は、時代と共に変化します。先を見通しながら、適宜見直すことも忘れてはいけません。
 さて、どのように思われましたか?どのようにお考えでしょうか?
                                                                          (2017.1.22記)

エッセイ133:私の初心からの賜りもの

 元祖ID(Important Date)野球を実践した野村克也氏は、名選手であり名監督でした。ボヤキ風のものから、卓見と感心させられるものまで、数多くの野村語録なる名言が存在します。私にとりましては、ビジネスパーソンの行動指針として共感できるものがいくつもあるのです。
 その中には「原因と結果の関係」に相通じる語録がありました。
 「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」です。後半部分の“負けに不思議の負けなし”は、正に『悪因悪果、自因自果』であり、ビジネスに置き換えると“失敗に不思議の失敗無し”なのです。悪因悪果、自因自果を肚に落とし、成功確率の高い問題解決の基本手順(PDCAサイクル)をキチンと回すこと、スパイラルアップすることが、学習効果の高い集団のあるべき姿なのだと思います。正に仕事の進め方の1丁目1番地ではないでしょうか。
 能役者・能楽師の世阿弥の言葉に、「初心忘るべからず」というのがあります。この有名な格言の意味は、「自分の芸が未熟であったことを、いつまでも忘れるな」なのです。その真意は、芸は未熟なのに人気が先行して、その結果“芸が優れている”と勘違いしてしまう、そんな若い役者が出てくることがあります。その役者に対する戒めが、世阿弥の本意だったのです。
 私には、忘れられない初心、忘れてはならない初心が、数えきれないくらいあります。特に昭和60年代から平成初期までの期間は、私の初心の溜まり場でもありました。人事教育の仕事に携わっての30数年間を振り返って、さらに多くの初心を見いだすことができます。新社会人なりたての昭和44年(1969年)代まで遡りますと、赤面ものの未熟な姿のオンパレードになりそうです。この年になっても、未熟と思しき顔が出てきます。
 だから、『謙虚』と『真摯』の四文字を心に刻んで、一生学ぶ人であり続けようと思います。

 今回のエッセイは、私の初心からの学習成果事例を紹介したいと思います。エッセイ40&41回の再来です。

私の初心からの賜りもの~仕事の進め方の基本的フォルムの修得
 
 以前のエッセイでは、“一生忘れてはならない私の初心”の具体例をいくつか披露させて頂きました。時を経て振り返って実感したそれらの初心(未熟な私)は、上を向いて前に歩を進める推進力となってくれたのでした。言葉に表せそうにもない閉塞的うつ症状を感じながらも、何とか踏ん張って、目の前の仕事や課題から逃げずに向き合って対処しているうちに、背中をそっと押してくれる支援的賜りものが増えていることがありました。それらは、後々になって気づいたものがほとんどでしたが。
 実力も精神力も十分に備わっていなかったひよこ時代は、課題を提示されて直ぐに、何をするのかという目先の方法論だけが気になりました。“何よりも競争に負けられない、誰よりもスピード最優先”が大手を振っていた時代でしたから、先手必勝しか頭にありません。一番に気になるのが周りの方々の対処法で、それを裏返して考えてみれば、自分自身の未熟さ、自信の無さの表れだったと思います。偏狭な視野からの思いつきに先導されて、結局、成果を見出せずにスタート地点をウロウロしている自分がおりました。
 専任教育担当なりたての頃の仕事のあり様も、同じ轍を踏んでいる状況でした。もう1年もすれば不惑世代に手が届く年齢にも拘らず、何とも情けない状態だったと思います。その頑迷固陋(がんめいころう)な状態に楔を打ち込んでくれたのは、藁をもすがる思いで学び続けている中から賜ったものでした。そんな実態との縁切りが成立するまでに、5年以上は要したかもしれません。サヨナラするために、延べ数百万円以上の自己投資も厭いませんでした。“今が人生の瀬戸際”という危機感と、“こんなことで負けてたまるか”という一途な目標必達魂が、学び続ける原動力になっていたのだろう、と振り返っております。

 楔を打ち込んでくれた賜りものを一言で表現すれば、“仕事の進め方の基本的フォルム(型)”の重要性を見出すことができたこと、それらが徐々に身についたことでしょうか。新たな課題に取り組む時、何ものにも代え難い賜りものであることを納得させてくれたのです。
 以下、その具体的な中身を列挙してみましょう。

 最初の具体的な賜りものは、仕事を進める上での考え方、あり方、姿勢の基盤の必要性に気付かされたことでした。その根幹となったのが教育理念です。数年もの間、何度も何度も練り直しました。「教育の基本理念(人財育成の着眼点)」(エッセイ122・123回)、「教育活動の基本原則」(エッセイ124・125回)として、現在に至っております。さらに、“教育とは何か?”という自問への回答として、「EDUCO TREE」(エッセイ119回)を植えました。

 仕事遂行上の賜りものには、次のような行動指針が挙げられます。
 基本中の基本は、PDCAサイクルをスパイラルアップし続けることに尽きます。そして、6W3H、報連相、成功確率の高い問題解決の基本手順の要点などを、常にお供に従えることです。
 実行する段になったら、準備万端整えることを、何が何でもやり遂げることです。研修講師であれば、一ヶ月前にはいつでも実施可能の状況にすることを、イの一番の指針と決めました。

 どのような形態であれ、教育機会を企画する時には、「研修企画検討表」に則って進めることを基本原則としました。教育問題の兆候と教育ニーズを四直四現主義で明らかにするところから始めます。実施することが目的の教育機会は、無駄以外の何物でもありません。それだけは、絶対に避けなければいけませんね。
 GOサインの可能性が見えてきたら、ねらい(目的、目標、意図)を明確にすることが何よりも重要となります。平行して、教育機会全体を小説・映画に見立てて、一つの作品としてプロデュースします。ねらいは全体だけではなく、各単元、各カリキュラム別に明らかにしていきます。教材や資料は、ねらい実現に沿って念入りに用意します。これらの作業には、相当の時間を要することになります。
 講師として皆さんの前に立つ時には、私の基本スタンスと進め方を明示することから始めます。A-4版1枚にまとめた“WELCOME、いのうえ塾へ”を配布して、共感・共有を意識しながら理解して頂くことに注力します。
 研修中の基本スタンスは、カウンセラー、ファシリテーター的な引き出し役、メンターという助言役、またある時はガイド、トレーナーとしての道案内役、場合によっては厳父役・慈母役というように、状況に応じた役割を心掛けております引き出すための「グルグル回りの対話」は、自然体でやれるレベルになりました。考えては自問自答することを常に要求することで、自己動機づけ意識を引き出したいのです。

 こうやって数えあげれば、かなりの賜りものの存在に気づかされます。それらが、今後とも基本的フォルムであり続けるのかは分かりかねますが、何事も決め付けることなく、状況に応じて見直す度量を持って日々対処することで、本質を外さないで考えられるようにもなりました。本質を外さないで状況対応することが可能になりました。現在の取り組みも、E森の執筆も、身についた基本フォルムからスタートしていると思います。状況が一変することも視野に入れながら、常にベストを目指して対処すると決めております。
 気がつけば、周りの方々がどうであれ、常に熱意と本気で全力投球することから逃げない私になれたと思います。また、突発的なアクシデントへの対応、スケジュールや方向性の変更への対応も、焦ることなく余裕を持ちながら全体最適で対処することが可能になりました。それらこそが初心からの貴重な賜りもののような気がしてなりません。近年とみに感じております。

                                                       (2017.1.10記)

エッセイ132:教育担当者に求められる基本要件(その2)

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 古希の誕生日からひと月になりました。いくつもの経験が積み重なり、それらが整頓されて積み上がったから、“それなんだよね。…… ”と思うことが増えてきたように感じます。エッセイの中で、そんな風景を自然と呟くことが一再ならずありました。これからもコツコツと右肩上がりで推移させたい、と考えております。
 潜在能力が開花したと実感する、“アッ、あれだ……”と気づく、そして“これで行こう…”と方途が見つかる、…… 。経験に優るものはない、と実感する時です。
 一方、何かを知りたければ、容易に検索できる時代になりました。経験の有無にかかわらず、ネットで検索した情報をコピペ(丸写し)しただけで‟理解できた“と勘違いしているケースが、非常に気になります。その行為に何の疑問も感じない実態は、もっと気がかりでなりません。だからでしょうか、10数年前からは、何よりも行動する(=やってみる)ことを奨励するようになりました。
 しかし、“経験に優るものはない”といっても、私自身の経験が他の方々に当てはまるとは限りません。そのような当たり前の理由から、同じような問題であっても、先入観で安易に当てはめることは戒めなければなりません。年配者の自慢話と押しつけにはウンザリでしょうから、観察力、傾聴力、感受性、想像力をミックス動員しながら、視野を広げて考えるように方向付けしております。そうすることで、状況対応の引き出しを増やしていけるのではないでしょうか。
 今回のE森は、教育担当者に求められる基本要件の2回目になります。これらは、私なりの経験と学びの産物です。この仕事に従事して20年目のまとめレポートを基に、何度か改廃して現在の内容に至っております。これも自力で策定されることをお奨めします。

教育担当者に求められる基本要件(その2)
Ⅱ.教育担当の行動指針  *詳細は添付ファイルを参照願います。

 1.人間的魅力を高めて、影響力を発揮できるようにすること
    ※周りの人たちに意識変革・行動変革することを発信し、影響を与え続けられる人になる!

 2.“必活仕掛け人”、“水先案内人”であり続けること
 3.オンリーワンのノウハウを作りあげる先駆けになること
 4.半歩先を歩いて、企業を取り巻く経営環境の変化・問題に敏感に反応すること

Ⅲ.求められる心構え・態度・スキル

 1.心 構 え
  (1)赤々と燃える成長願望を持ち続ける
  (2)自ら率先して学ぶ人になる:教うるは学ぶの半なり
  (3)良好な人間関係を作る:ヒューマンリレーション作りの達人になる
       *相互理解 → 相互受容 → 相互信頼 → 相互支持 
  (4)分りやすく的確・適切な言葉で話す:考えが貧弱だと、言葉も貧弱で分かりにくい
  (5)理解と納得の話し方をする:必ず結果とその理由・根拠をセットで
  (6)基本をよく知り、マネジメントに精通し、顧客の声によ~く耳を傾け、
          洋の東西の哲学(倫理)を知り、自社・他社を研究し、社員を知る
  (7)人のやる気の起こし方を知り、皆が生き生きとしている風土を目指す
  (8)人材育成・企業内教育に関する理論・技法を身につけ、言行一致を実践する
  (9)教育の要諦は、諦めずにやり続ける:「継続は力なり」、「積み重ねは力なり」、「根気は力なり」
  (10)「我以外皆我師也」という謙虚で真摯な共育魂を持つ

 2.態 度
  (1)情熱・本気
  (2)誠実・正義感・倫理観
  (3)共に考える姿勢:教育は共育なり
  (4)自分自身を客観的に観察できる冷静さ:離見の見
  (5)謙虚に看脚下:教わるとは?

 3.ス キ ル
  (1)教育理念と教育体系の構築、策定:教育とは?
  (2)教える内容の深い知識と技能:相手を納得させ、やる気を喚起する
  (3)教え方の知識と技能
  (4)人をひきつける対人関係能力、心に浸み込んでいくコミュニケーション能力
  (5)健全で柔軟な判断力
  (6)問題意識、好奇心、感受性、想像力
  (7)的確で適切な問いかけ、問題提起:「応答は問いに依存する」

                                                                      (2016.11.10記)

エッセイ131:教育担当者に求められる基本要件(その1)

 前回のエッセイでは、私の考える“企業内教育担当者の役割・機能”を取りあげました。今回から2連続で、さらに掘り下げた具体的な役割・機能を提案したいと思います。
 このレベルの見解を公言するまでには、相当な質量の経験と試行錯誤の積み重ね、幅広い職務遂行能力の積み上げが必要だと感じております。数年では難しいでしょう。10年は要すると思います。ここは、“僕の前に道はない。僕の後ろに道は出来る”(高村光太郎)、“隗より始めよ”(戦国策)、と肝に銘じてチャレンジしてください。
 「人材育成の基本課題は何か?」、「教育担当の行動指針」、「求められる心構え・態度・スキル」、「教育担当の能力要件」の4部構成ですが、今回は企業内教育担当者の役割の具体的課題編になります。

教育担当者として求められる基本要件(その1)

Ⅰ.人材育成の基本課題は何か?

1.社員一人ひとりの考え方や心構えを引き出すこと、革めること。そして、“自発的やる気”を喚起すること。
  
  (1)“健全な心構え・判断基準”を、しっかりと肚に落とすこと、落とさせること
     ・“人間尊重(Yの心)”を基本的信念に
     ・4S志向
        CS(顧客満足)/DS(生活者満足)/PS(患者満足)/ES(従業員満足)
     ・自己責任意識、目標必達魂、チャレンジ(リスクテイク)精神
     ・CSR(企業の社会的責任)の追求
     ・サステナビリティー(持続可能性)の追究
     ・コンプライアンスの必然性の理解と率先垂範
  (2)必ず行動変革へ結びつけること:仕事が教材(On the Job Learning)
     ・方針と目標を明確にして、全員に明示する
     ・目標達成のための方途を考える、考えさせる
     ・目標と具体的計画を合意する
     ・目標の進捗状況を確認しながら、納得するまで共有化する
     ・対話を通して、“背中を押す”、“誉める・叱る”、“勇気付ける”
     ・納期がきたら客観的に評価する。その結果を理由を添えてフードバックする
        *やる気=自己確信(自信)×自己動機づけ

 2.心を耕して、人間性を磨くこと。
        *自助力(自力で生きていける力)と共助力(周りの人と一緒にやっていける力)を身につけて、 
                                               “いつでもどこでも誰とでも協働できる人”を育てる。
   
  (1)謙虚に素直に看脚下することの習慣化、当り前化
  (2)利害関係にとらわれない、お役立ちの心を持つこと
  (3)人の痛みを知り、その痛みを自分事として、自己を厳しく律すること(自律心)
  (4)個人の尊厳を大切にし、権威主義に陥らないこと(倫理観、道徳観)
  (5)社会の秩序を維持し、社会や会社の諸規程・規律を率先して遵守すること(規律性)
  (6)言ったことや決めたことは、必ず実行に移すこと(誠実)

 3.問題発見能力と問題解決能力を高めること。そして、継続的業績向上に結びつけること。
   
  (1)仕事の進め方の基本であるPDCAサイクルをスパイラルアップすること
  (2)問題意識と感受性・好奇心を引き出すこと
     ・3W(なぜ・なぜ・なぜとWHYを3回繰り返す)思考の習慣化
     ・“何かおかしい、ちょっと変だ”と感じたら、立ち止まって視る/観る/診る
     ・ノーサイドミーティングを日々始終化、当たり前化
  (3)問題提起をする時は、必ず対案をセットにすること
  (4)試行錯誤を奨励すること、歓迎すること

      ※成果・成長=心構え(行動理論)×職務遂行能力×行動量
                      (自律要因)

  (5)失敗にこそ宝物が隠されていることを共有化して、勇気をもって問題解決の基本手順を稼働すること、させること

      ※成功確率が高い「問題解決の基本手順」
         【手順1】問題を把握する
         【手順2】原因を分析する
         【手順3】対案を列挙し整理する
         【手順4】比較選択して対案を選択する
         【手順5】選択案の実行計画を立て、全体をチェックする
         【手順6】計画に沿って、実行する
         【手順7】定期的に、進行状況を検証する


                                                                      (2016.10.28記)

就職活動のあり方、進め方の本質を考える会

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 岩手医科大学薬学部薬学研究会とのコラボレーション報告です。
 平成29年2月12日(日)9:00 ~ 12:30までの3時間半、矢巾キャンパスゼミナール室において、特別企画「就職活動のあり方、進め方の本質を考える会」が実施されました。会の企画・運営・コーディネートは、弊社の人材開発部長井上和裕(EDUCOいわて・学び塾・種蒔き塾主宰)が担当し、参加対象が5年生と4年生でした。
 この特別企画は五部構成で、①オリエンテーション、②薬学部卒者・薬剤師の職業いろいろ、③何故、就職活動のあり方・進め方について言及しようとしているのか。何故、20年近くも薬学生の就職活動の実態に異論を唱えて問題提起しているのか、④納得のいく就職活動のあり方、進め方の着眼点の例、⑤就職活動をどうするか、の流れで進められました。
 今回のコラボレーション実施の背景として、「非正規社員の働き方の意識と実態に関する調査」(日本経営者協会)から見えてくる薬学生の就活実態の共通点が非常に印象的でした。また、三つの狙い(以下参照)が明確でインパクトがありました。
 ・自分自身の将来の方向性を追究して、自主的・能動的で納得のいく就職活動の実現を目指す。
 ・将来悔いることのない職業選択のあり方や進め方を実践するためのヒントや着眼点を考える。
 ・就職活動における様々な情報源とその活用のあり方を学び、企業の真の姿の探索方法を見つける。

 日頃から井上が一先輩薬剤師として持ち続けている問題意識が、今回の特別企画の根底にありました。次の井上の問いかけに、現役薬学生が就職活動でどう反応するのか、それを見届けたいと思います。

“今の多くの薬学生にとって国家試験合格が最大の目標ではあると思いますが、6年制になったことの主旨や薬学部卒者に求められる任務・職能の方向性を鑑みれば、学生時代に将来像と向き合ってキャリアデザインを考えて明確にすることは、車の両輪であるべきではないでしょうか。これからも問いかけ続けたいと考えております”

エッセイ130:私の考える“企業内教育担当者の役割・機能”

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 今回から数回にわたりまして、私(井上和裕/EDUCOいわて・学び塾・種蒔き塾)の考える教育担当者の役割、求められる心構え、能力要件などを提案したいと思います。教育理念を実現するために、プロと称される教育担当者として、どうしても身に着けておきたい行動指針、具体的能力に関する内容でもです。
 このような本質的側面を、企業の垣根を越えて、同じ職務に携わる同志として、お互いの考えや思い、苦悩などを出し合いながら、前向きな議論が実現可能になることを切に願っております。胸襟を開いて切磋琢磨し合うべき時代なのです。

私の考える“企業内教育担当者の役割・機能”

●役 割 
 1.継続的教育テーマの策定                       
    ①顕在化している教育ニーズの把握                 
    ②潜在化している教育ウォンツの発掘                
 2.全社的教育風土作り
    ①教育理念の策定と浸透                       
    ②教育体系の策定とメンテナンス
 3.人材育成機会の企画・運営・フォロー                
    ①個別育成計画に対応した教育プログラム
    ②ニーズ・ウォンツにマッチした教育機会(職種別・階層別・ニーズ別)
    ③定型コース                                
    ④OJT(仕事・MT・会議など)
    ⑤目標によるマネジメント                        
    ⑥仕事研究的チーム活動
 4.研修インストラクター                           
 5.カウンセリングの実施
 6.ニーズに応じた支援、助言、指導の実践
 7.経営改善方法の提案と仕組み作り
 8.経営補佐(経営者の懐刀) 
 9.同業他社、異業種とのコラボレーション

●機 能
  ディレクター/インストラクター/ファシリテーター/メンター/カウンセラー/ガイド/コーチ/コーディネーター

   各組織が主人公となって、組織ぐるみで人材育成に取り組み、
                     活き活きとした組織風土作りを企画・運営・推進する演出家(ディレクター)であり、
   社員一人ひとりが、自らを主人公と位置づけ、
                     能動的に自問自答しながら潜在能力を引き出す促進役(ファシリテーター)であり、
   壁にぶつかった時の助言者(メンター)、聴き手(カウンセラー)、道案内人(ガイド)であり、
   『やって見せて、言ってきかせて、やらせてみて、ほめてやらねば人は動かじ』を、
                          いつでもどこでも実践している指導者(インストラクター、コーチ)であり、
   人と人、人と情報、人とノウハウ、人と資源を結びつけて相互理解、相互啓発を推進する調整者(コーディネーター)である。

         *上記体系図:添付ファイル参照
                                                                     (2016.10.15記)

エッセイ129:教ウルハ、学ブノ半ナリ

 人口減少、超高齢化の時代になりました。総務省発表の2015年国勢調査(5年に1度実施)の速報値によれば、総人口は127百万人で前回と比べて減少に転じました。また65歳以上の高齢者率が26.7%(33,4百万人)で過去最高となりました。また、主要国で最も高い比率でした。この傾向は、ますます顕著になるといわれています。
 さて、これらの方向性から考えて頂きたいことがあります。それは、人材の奪い合いがより鮮明になってくるということではないでしょうか。容易に想像できることです。年令に関係なく、そう肚を括ることですね。学生の皆さんには、特に力を込めて申しあげておきましょう。それだけの危機感を持って今を生きて欲しいと感じているのです。
 現役のビジネスパーソンは、就業形態、雇用形態が何であれ、所属する会社や組織にもたれかかった働き方から脱却しましょう。正に従属的依存意識からの脱却であり、リスクテイクの心構えで対処することです。
 つまり、どのような会社や組織であろうとも通用する能力、認められる能力、貢献できる能力、重宝される能力を磨き上げることです。通用する能力を積み重ねて引き出しを増やすことです。そのためには、自分自身の生き方と心構えを明確にして、能力開発もキャリアアップもセルフマネジメントすることです。どのような状況にも媚びることなく、どのような事態にも想定外という思考停止に陥ることなく、状況に応じて賢明に革めていくことです。

 今回は、エッセイ127回(一人前の教育担当者への関門)の続編となります。

教ウルハ、学ブノ半ナリ

 「教えることは学ぶことである」
 このような表現は、世界の多くの国々に諺としてあるそうです。教育担当にとりましては、金言といえましょう。
 エッセイ127回目に掲載した『一千万円の買物』を寄稿してくれた友人は、“私のオリジナルではない”と断って、「教えることは二度学ぶことである」というフレーズを教えてくれました。“教えることで、自分の記憶の正確さを再確認し、忘れたことを思い出し、相手からの質問に啓発されます。正しく、二度学ぶことを実感しています。時々自分の中でその言葉を反芻しています…”と。

 中国の古典である『書経』には、このような一文があります。
 「教ウルハ、学ブノ半(なかば)ナリ」と。
 “教えることは難しいのです。先ず、教える側自らが十分に勉強しなくてはいけません。ですから、半分は自分自身の学問修業といえます”というような意味でしょうか。
『書経』につけられた先人の訓訳には、「人に物を教うるは学問の半分じゃ。物を読み、物を学びても、その事を人に教えねば、さほどに、飲み込めぬものなり」と書いてあるそうです。
 私が教育担当成り立ての頃、ある経営幹部からはこう言われました。「教えることが二だとしたら、八勉強しなさい。それだけの準備ができなければ辞めなさい」と。
 これらは、第一線を退くことが近づいてきたからこそ実感させられる金言となりました。

 教育担当として受講者の前に立ち続けて、つくづく思うことがあります。教えることは容易ではありません。潜在意識・潜在能力を引き出すことは、もっともっと容易ではありません。不確かな知識が露呈する、その場しのぎで終始する、思うように進行できない…、毎回反省点が浮き彫りになります。そんな辛酸を積み重ねたからこそ実感しているのです。教育担当者は、その任務の性質から考えて、他人の数倍は学ばなければいけません。数倍では済まないですね。十数倍、いや数十倍も…。それだけの覚悟が不可欠だということです。一方、反対方向から察すれば、教えることで二度学ぶことになります。深耕というおまけがつくのです。それをラッキーと考えられたなら、精神的余裕を持って楽しみ乗り越えることも可能ではないでしょうか。
 「教ウルハ、学ブノ半ナリ」を行動指針として10年間やり通したなら、どこの会社でも通用する能力は身につくと思います。私の経験則でしかありませんが、そう信じています。
                                                                  (2016.8.10記)

エッセイ128:心構えが変われば言動に表れる

 明けましておめでとうございます。
 年が改まりました。本年も宜しくお願い申しあげます。
 私にとりましては、71回目の年越しとなりました。ゆったりした気分で、平成29年の元旦を迎えております。「心構えが変われば言動に表れる。言葉と態度が変わる」を、今年の強調テーマに決めております。そのことを意識させてくれた先師の教えを、今年のトップバッターにしました。
 
心構えが変われば言動に表れる ~ 我以外皆我師也/歩歩是道場/書を捨てよ、町へ出よう

 最初は“我以外皆我師也”(われいがいみなわがしなり)。ご存知の方も多いと思います。作家吉川英治氏の造語で、人生哲学を反映した座右の銘として有名です。
 氏の著書では『新書太閤記』に出てくるそうです。「常に、接する全ての人から、必ず何か一事を学び取るということを忘れない」というような表現で出ているようです。
 一般的に言われているのが、同じ氏の作品『宮本武蔵』の、日観と武蔵の会話の場面での武蔵の言葉として引用されています。しかし、『宮本武蔵』の中では、“我以外皆我師也”という形では出ていないとのことです。
 
 二つ目の“歩歩是道場”(ほほこれどうじょう)は、趙州録に出てくる禅の教えとのことです。佐々木則夫氏(日本女子サッカーなでしこジャパン前監督)の座右銘であることを新聞報道で知りました。
 気になって調べてみますと、もともとの由来は“直心是道場”(じきしんこれどうじょう)という言葉で、“直心”とは、「素直な心、我執のない真っ直ぐで無雑な心」を指すようです。
歩歩是道場とは、「心構えいかんで、心の持ち方一つで、いつでも、どこでも、学びの場になる」という意味に解釈しております。 常に問題提起しております「頭の中に満たされた不要な水を捨てて、謙虚に学ぶことからスタートすること」が、大前提の心構えになりましょうか。

 三つ目は、詩人であり劇作家の寺山修司氏の評論集「書を捨てよ、町へ出よう」の一節です。
 それは、“教育は与えるものではない。受け取るものである。そのような視点に立てば、人生いたるところ学校であり、ゲームセンターにも、競馬場にも、映画の中にも、歌謡曲の一節にも、教育者はいるのである”という百文字未満の氏の見解です。
 私が教育担当の仕事を任されたのは30年前、昭和年代の後半でした。私の行く手に立ちはだかった命題に対する自答を模索していた時期でもありました。その命題は、“教育とは何か?”という、エッセイでも何度か取り上げたテーマです。当時の私にとっては避けては通れない、しかし何とも難解なテーマでした。そんな時に出会ったのが、“教育は与えるものではない。… ”という寺山修司氏の見解でした。目の前の雲間から明るい光が差し込んできた感があったことを、今でも鮮明に覚えております。何を介して出会ったか、その記憶は残っていませんが…。

 これらの先師の教えは、今でも、多くの場面で引用させて頂いております。

 「先ずは、頭を空っぽにして受け容れなさい」、「私たちの身の周りには、学ぶ人、学ぶ機会、学ぶ教材が限りないほど溢れています。あなたの心構え、考え方、見方、そして行動をちょっとだけ変えてみることで、見え方が違ってきませんか。あり方が変わってきませんか。そして、言い方が変わってきませんか」… 。
 私にとりましては、そのような大切なことを常に意識させてくる指針なのです。そして、信頼のコミュニケーションの土台であることを、何よりも忘れてはいけません。
                                                                        (2017.1.1記)

エッセイ127:一人前の教育担当者への関門は何か?

 採用担当者つぶやきエッセイをスタートさせたのは、11年半も前のことになります。当時お世話になったばかりの調剤薬局チェーンのホームページ(以下、HP)見直しがきっかけでした。
 オープンしてから一度も手つかずのままのHPを、抜本的にリニューアルすることになったのです。目指すビジョンや標榜する社会的責任を世に問うアンテナ的役割を強化することが主目的で、リニューアルの全権を委任されました。私が信頼する就職情報企業との協同作業で骨格を構築しながら、リニューアル後の更新情報のあり方に苦慮したことを忘れることはないでしょう。
 企業のHPの良し悪しの評価基準の一つに、“更新情報のアップ頻度”があります。中小企業の場合、何ヶ月も更新情報無しの企業を見かけます。そのような実態を鑑みて、更新情報を毎月アップすることを最大の目標に掲げたのです。それも、企業姿勢や考え方をメインに発信することにしました。そして、私がエッセイをつぶやいて毎月掲載することが、考えた末の結果となったのです。これがエッセイスタートの一番のきっかけでした。
 その裏で、つぶやく内容について四苦八苦する状態が始まったのです。立ち止まって悩んでいても、時は待ってくれません。数か月間は、その場その場で思いついたことを中心に、どうにかこうにか対処出来ました。半年が経過して、私が確信を持って問題提起できるテーマは、人事業務の一部である人材開発に関する内容でしかない、と結論づけるに至りました。具体的には、人材開発業務の内の採用と人材育成をメインテーマと定めて、“行けるところまで突っ走ろう”と腹を決めたのです。今振り返ってみれば、これもエッセイ執筆の潜在的きっかけだったと思います。
 1年ほど前になります。10年間の全エッセイを読み流し、あるものは何度も読み返しながら、改めてその傾向を確認することが出来ました。平成27年7月までにアップした全エッセイ(382回)の過半数が、人材育成や企業内教育に関するテーマであるということです。現状実態、現状実態への問題提起、将来の方向性と今後の課題に始まって、問題や課題解決の対案、教育とは何か、マネジメント、リーダーシップ、教育担当者のあり方・要件などの持論、更にはその都度湧き上がってきたテーマを羅列しながら、現在に至ったのです。余談になりますが、そのような認識から、人材育成に特化した“EDUCOの森”構想が浮かんできたのだと思います。
 さて今回のエッセイは、一人前と評価される企業内教育担当者の関所について考えてみたいと思います。

一人前の教育担当者への関門は何か?

 “勉強の目的は?”、“勉強とは、学ぶとは?”、“教育とは何か?”…、これらは常に意識させられる私自身への問いかけです。最近のエッセイでも、何度か登場した自問なのです。
 教育担当成り立ての頃は、「正答は一つ」に疑いの余地を挟むことはありませんでした。○か×という認識の世界で仕事をしておりました。しかし、人事教育の仕事経験を積み重ねていくうちに、問題解決のための議論を重ねていくうちに、或いは人事評価の在り方に悩み続けるたびに、○×の二者択一だけでは解決できない問題が多いことに気づき始めました。
 また、発する言葉が同じであっても、一人ひとりの言葉の理解度や解釈の違いから乖離が浮き彫りになることもありました。また、その逆もあるのです。発する言葉が違っても考えが同じであったり、その時々の問題認識の違いが明らかになることだってあります。
 “何故勉強するのか、学ぶのか?”の問いも、様々な見解があって、正解は10人10通りになり得ることが、年を重ねる毎に分かってきました。「楽しいから」、「友だちができるから」、「恋愛だって勉強。男女の内面の違いが分かった気がするから」、「興味本位で知りたいから」…

 薬剤師の友人が、10年近く前に寄稿してくれたエッセイをご紹介しましょう。“勉強の目的は何か?”の一見解例として、何度となく活用させて頂いております。

☆★☆一千万円の買物★☆★
 昭和45年に薬剤師になってから今日まで、約一千万円の書籍を購入しました。
 それは薬剤師として、不足の部分を埋めるための教材でした。
 薬のことだけではなく、生理、病態、解剖、診断、医学用語、検査、検査値、看護と系統も脈絡もなく、ほとんど手当たり次第だったと思います。
 約40年の月日が流れ、私の中で氷山がひとつ出来上がりました。
 日常は10%の海面上の力で処方せんに向い、患者様に接しております。
 海面下の90%は、私を支える自信です。
 学ぶこと、知ること、そして知っているという余裕が、私に仕事の楽しさをもたらしてくれました。
 結果だけではなく、そこに至るプロセスから得るものも大切です。
 ばらばらの知識が、あるとき突然にネットワークが出来上がり、生きた知識となるとき、水が氷に変わる瞬間を体感します。
 地球温暖化が危惧されるこの頃、私の氷山も溶けて小さくならないよう願っています。


 最近つくづく思います。
 「生きる」とは、「日々の生活から学び続けること」「日常の出来事から学び続けること」であり、「そうであることを知ること」、「そう覚悟をすること」が、私の残りの人生の指針となりました
 勉強の目的、学びの目的は、その人の生き方、人生観の産物なのだと感じております。
 そのように目の前の疑問に対して自答を繰り返しながら、後輩の若い青竹の教育担当者に対してアドバイスをしたあのひと言が蘇ってきたのです。もう20年以上になりましょうか。「一人前の教育担当者としての関門は何か?」という雑談的意見交換の中でのひと言です。
 
「自分自身の生き方や考えを、自分の言葉で語り、問題提起をして、その輪の中に目の前の受講対象者を引き込むことが出来る様になること」と。
 
 その後輩は、22歳で私の部下になり、関門を通過するまでに10年近い試行錯誤の時間を要しました。通過してからは、落ち着いた口調で語りかけ、粘り強く対話を繰り返しては、本質をはずさない進め方が出来る様になったのです。安心して任せることが可能になったのでした。30歳過ぎでしたが、難しい課題を乗り越えた努力に、今日は改めて敬意を表しております。

 年齢に関係なく、あなた自身の人生観を、染み透るようなあなた自身の言葉で投げかけられる教育担当者になって頂きたいのです。それが、最近の私の切実な思いなのです。
                                                                (2016.7.5記)

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