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エッセイ129:教ウルハ、学ブノ半ナリ

 人口減少、超高齢化の時代になりました。総務省発表の2015年国勢調査(5年に1度実施)の速報値によれば、総人口は127百万人で前回と比べて減少に転じました。また65歳以上の高齢者率が26.7%(33,4百万人)で過去最高となりました。また、主要国で最も高い比率でした。この傾向は、ますます顕著になるといわれています。
 さて、これらの方向性から考えて頂きたいことがあります。それは、人材の奪い合いがより鮮明になってくるということではないでしょうか。容易に想像できることです。年令に関係なく、そう肚を括ることですね。学生の皆さんには、特に力を込めて申しあげておきましょう。それだけの危機感を持って今を生きて欲しいと感じているのです。
 現役のビジネスパーソンは、就業形態、雇用形態が何であれ、所属する会社や組織にもたれかかった働き方から脱却しましょう。正に従属的依存意識からの脱却であり、リスクテイクの心構えで対処することです。
 つまり、どのような会社や組織であろうとも通用する能力、認められる能力、貢献できる能力、重宝される能力を磨き上げることです。通用する能力を積み重ねて引き出しを増やすことです。そのためには、自分自身の生き方と心構えを明確にして、能力開発もキャリアアップもセルフマネジメントすることです。どのような状況にも媚びることなく、どのような事態にも想定外という思考停止に陥ることなく、状況に応じて賢明に革めていくことです。

 今回は、エッセイ127回(一人前の教育担当者への関門)の続編となります。

教ウルハ、学ブノ半ナリ

 「教えることは学ぶことである」
 このような表現は、世界の多くの国々に諺としてあるそうです。教育担当にとりましては、金言といえましょう。
 エッセイ127回目に掲載した『一千万円の買物』を寄稿してくれた友人は、“私のオリジナルではない”と断って、「教えることは二度学ぶことである」というフレーズを教えてくれました。“教えることで、自分の記憶の正確さを再確認し、忘れたことを思い出し、相手からの質問に啓発されます。正しく、二度学ぶことを実感しています。時々自分の中でその言葉を反芻しています…”と。

 中国の古典である『書経』には、このような一文があります。
 「教ウルハ、学ブノ半(なかば)ナリ」と。
 “教えることは難しいのです。先ず、教える側自らが十分に勉強しなくてはいけません。ですから、半分は自分自身の学問修業といえます”というような意味でしょうか。
『書経』につけられた先人の訓訳には、「人に物を教うるは学問の半分じゃ。物を読み、物を学びても、その事を人に教えねば、さほどに、飲み込めぬものなり」と書いてあるそうです。
 私が教育担当成り立ての頃、ある経営幹部からはこう言われました。「教えることが二だとしたら、八勉強しなさい。それだけの準備ができなければ辞めなさい」と。
 これらは、第一線を退くことが近づいてきたからこそ実感させられる金言となりました。

 教育担当として受講者の前に立ち続けて、つくづく思うことがあります。教えることは容易ではありません。潜在意識・潜在能力を引き出すことは、もっともっと容易ではありません。不確かな知識が露呈する、その場しのぎで終始する、思うように進行できない…、毎回反省点が浮き彫りになります。そんな辛酸を積み重ねたからこそ実感しているのです。教育担当者は、その任務の性質から考えて、他人の数倍は学ばなければいけません。数倍では済まないですね。十数倍、いや数十倍も…。それだけの覚悟が不可欠だということです。一方、反対方向から察すれば、教えることで二度学ぶことになります。深耕というおまけがつくのです。それをラッキーと考えられたなら、精神的余裕を持って楽しみ乗り越えることも可能ではないでしょうか。
 「教ウルハ、学ブノ半ナリ」を行動指針として10年間やり通したなら、どこの会社でも通用する能力は身につくと思います。私の経験則でしかありませんが、そう信じています。
                                                                  (2016.8.10記)

エッセイ128:心構えが変われば言動に表れる

 明けましておめでとうございます。
 年が改まりました。本年も宜しくお願い申しあげます。
 私にとりましては、71回目の年越しとなりました。ゆったりした気分で、平成29年の元旦を迎えております。「心構えが変われば言動に表れる。言葉と態度が変わる」を、今年の強調テーマに決めております。そのことを意識させてくれた先師の教えを、今年のトップバッターにしました。
 
心構えが変われば言動に表れる ~ 我以外皆我師也/歩歩是道場/書を捨てよ、町へ出よう

 最初は“我以外皆我師也”(われいがいみなわがしなり)。ご存知の方も多いと思います。作家吉川英治氏の造語で、人生哲学を反映した座右の銘として有名です。
 氏の著書では『新書太閤記』に出てくるそうです。「常に、接する全ての人から、必ず何か一事を学び取るということを忘れない」というような表現で出ているようです。
 一般的に言われているのが、同じ氏の作品『宮本武蔵』の、日観と武蔵の会話の場面での武蔵の言葉として引用されています。しかし、『宮本武蔵』の中では、“我以外皆我師也”という形では出ていないとのことです。
 
 二つ目の“歩歩是道場”(ほほこれどうじょう)は、趙州録に出てくる禅の教えとのことです。佐々木則夫氏(日本女子サッカーなでしこジャパン前監督)の座右銘であることを新聞報道で知りました。
 気になって調べてみますと、もともとの由来は“直心是道場”(じきしんこれどうじょう)という言葉で、“直心”とは、「素直な心、我執のない真っ直ぐで無雑な心」を指すようです。
歩歩是道場とは、「心構えいかんで、心の持ち方一つで、いつでも、どこでも、学びの場になる」という意味に解釈しております。 常に問題提起しております「頭の中に満たされた不要な水を捨てて、謙虚に学ぶことからスタートすること」が、大前提の心構えになりましょうか。

 三つ目は、詩人であり劇作家の寺山修司氏の評論集「書を捨てよ、町へ出よう」の一節です。
 それは、“教育は与えるものではない。受け取るものである。そのような視点に立てば、人生いたるところ学校であり、ゲームセンターにも、競馬場にも、映画の中にも、歌謡曲の一節にも、教育者はいるのである”という百文字未満の氏の見解です。
 私が教育担当の仕事を任されたのは30年前、昭和年代の後半でした。私の行く手に立ちはだかった命題に対する自答を模索していた時期でもありました。その命題は、“教育とは何か?”という、エッセイでも何度か取り上げたテーマです。当時の私にとっては避けては通れない、しかし何とも難解なテーマでした。そんな時に出会ったのが、“教育は与えるものではない。… ”という寺山修司氏の見解でした。目の前の雲間から明るい光が差し込んできた感があったことを、今でも鮮明に覚えております。何を介して出会ったか、その記憶は残っていませんが…。

 これらの先師の教えは、今でも、多くの場面で引用させて頂いております。

 「先ずは、頭を空っぽにして受け容れなさい」、「私たちの身の周りには、学ぶ人、学ぶ機会、学ぶ教材が限りないほど溢れています。あなたの心構え、考え方、見方、そして行動をちょっとだけ変えてみることで、見え方が違ってきませんか。あり方が変わってきませんか。そして、言い方が変わってきませんか」… 。
 私にとりましては、そのような大切なことを常に意識させてくる指針なのです。そして、信頼のコミュニケーションの土台であることを、何よりも忘れてはいけません。
                                                                        (2017.1.1記)

エッセイ127:一人前の教育担当者への関門は何か?

 採用担当者つぶやきエッセイをスタートさせたのは、11年半も前のことになります。当時お世話になったばかりの調剤薬局チェーンのホームページ(以下、HP)見直しがきっかけでした。
 オープンしてから一度も手つかずのままのHPを、抜本的にリニューアルすることになったのです。目指すビジョンや標榜する社会的責任を世に問うアンテナ的役割を強化することが主目的で、リニューアルの全権を委任されました。私が信頼する就職情報企業との協同作業で骨格を構築しながら、リニューアル後の更新情報のあり方に苦慮したことを忘れることはないでしょう。
 企業のHPの良し悪しの評価基準の一つに、“更新情報のアップ頻度”があります。中小企業の場合、何ヶ月も更新情報無しの企業を見かけます。そのような実態を鑑みて、更新情報を毎月アップすることを最大の目標に掲げたのです。それも、企業姿勢や考え方をメインに発信することにしました。そして、私がエッセイをつぶやいて毎月掲載することが、考えた末の結果となったのです。これがエッセイスタートの一番のきっかけでした。
 その裏で、つぶやく内容について四苦八苦する状態が始まったのです。立ち止まって悩んでいても、時は待ってくれません。数か月間は、その場その場で思いついたことを中心に、どうにかこうにか対処出来ました。半年が経過して、私が確信を持って問題提起できるテーマは、人事業務の一部である人材開発に関する内容でしかない、と結論づけるに至りました。具体的には、人材開発業務の内の採用と人材育成をメインテーマと定めて、“行けるところまで突っ走ろう”と腹を決めたのです。今振り返ってみれば、これもエッセイ執筆の潜在的きっかけだったと思います。
 1年ほど前になります。10年間の全エッセイを読み流し、あるものは何度も読み返しながら、改めてその傾向を確認することが出来ました。平成27年7月までにアップした全エッセイ(382回)の過半数が、人材育成や企業内教育に関するテーマであるということです。現状実態、現状実態への問題提起、将来の方向性と今後の課題に始まって、問題や課題解決の対案、教育とは何か、マネジメント、リーダーシップ、教育担当者のあり方・要件などの持論、更にはその都度湧き上がってきたテーマを羅列しながら、現在に至ったのです。余談になりますが、そのような認識から、人材育成に特化した“EDUCOの森”構想が浮かんできたのだと思います。
 さて今回のエッセイは、一人前と評価される企業内教育担当者の関所について考えてみたいと思います。

一人前の教育担当者への関門は何か?

 “勉強の目的は?”、“勉強とは、学ぶとは?”、“教育とは何か?”…、これらは常に意識させられる私自身への問いかけです。最近のエッセイでも、何度か登場した自問なのです。
 教育担当成り立ての頃は、「正答は一つ」に疑いの余地を挟むことはありませんでした。○か×という認識の世界で仕事をしておりました。しかし、人事教育の仕事経験を積み重ねていくうちに、問題解決のための議論を重ねていくうちに、或いは人事評価の在り方に悩み続けるたびに、○×の二者択一だけでは解決できない問題が多いことに気づき始めました。
 また、発する言葉が同じであっても、一人ひとりの言葉の理解度や解釈の違いから乖離が浮き彫りになることもありました。また、その逆もあるのです。発する言葉が違っても考えが同じであったり、その時々の問題認識の違いが明らかになることだってあります。
 “何故勉強するのか、学ぶのか?”の問いも、様々な見解があって、正解は10人10通りになり得ることが、年を重ねる毎に分かってきました。「楽しいから」、「友だちができるから」、「恋愛だって勉強。男女の内面の違いが分かった気がするから」、「興味本位で知りたいから」…

 薬剤師の友人が、10年近く前に寄稿してくれたエッセイをご紹介しましょう。“勉強の目的は何か?”の一見解例として、何度となく活用させて頂いております。

☆★☆一千万円の買物★☆★
 昭和45年に薬剤師になってから今日まで、約一千万円の書籍を購入しました。
 それは薬剤師として、不足の部分を埋めるための教材でした。
 薬のことだけではなく、生理、病態、解剖、診断、医学用語、検査、検査値、看護と系統も脈絡もなく、ほとんど手当たり次第だったと思います。
 約40年の月日が流れ、私の中で氷山がひとつ出来上がりました。
 日常は10%の海面上の力で処方せんに向い、患者様に接しております。
 海面下の90%は、私を支える自信です。
 学ぶこと、知ること、そして知っているという余裕が、私に仕事の楽しさをもたらしてくれました。
 結果だけではなく、そこに至るプロセスから得るものも大切です。
 ばらばらの知識が、あるとき突然にネットワークが出来上がり、生きた知識となるとき、水が氷に変わる瞬間を体感します。
 地球温暖化が危惧されるこの頃、私の氷山も溶けて小さくならないよう願っています。


 最近つくづく思います。
 「生きる」とは、「日々の生活から学び続けること」「日常の出来事から学び続けること」であり、「そうであることを知ること」、「そう覚悟をすること」が、私の残りの人生の指針となりました
 勉強の目的、学びの目的は、その人の生き方、人生観の産物なのだと感じております。
 そのように目の前の疑問に対して自答を繰り返しながら、後輩の若い青竹の教育担当者に対してアドバイスをしたあのひと言が蘇ってきたのです。もう20年以上になりましょうか。「一人前の教育担当者としての関門は何か?」という雑談的意見交換の中でのひと言です。
 
「自分自身の生き方や考えを、自分の言葉で語り、問題提起をして、その輪の中に目の前の受講対象者を引き込むことが出来る様になること」と。
 
 その後輩は、22歳で私の部下になり、関門を通過するまでに10年近い試行錯誤の時間を要しました。通過してからは、落ち着いた口調で語りかけ、粘り強く対話を繰り返しては、本質をはずさない進め方が出来る様になったのです。安心して任せることが可能になったのでした。30歳過ぎでしたが、難しい課題を乗り越えた努力に、今日は改めて敬意を表しております。

 年齢に関係なく、あなた自身の人生観を、染み透るようなあなた自身の言葉で投げかけられる教育担当者になって頂きたいのです。それが、最近の私の切実な思いなのです。
                                                                (2016.7.5記)

エッセイ126:日常の教育機会の指導ポイント

 6月5日(日)に、第18回学び塾がありました。開塾以来、福島市と郡山市で交互開催しておりましたが、今回初めて盛岡市で開催する運びとなりました。
 学び塾は20数名でスタートしました。7年前のことです。継続テーマを学びの基本としている関係で、途中入塾はお断りして進めて参りました。その間、人事異動による転勤、結婚退職、様々な理由による転職、その他私的な理由によって、塾生は年々減少しました。平成28年6月末現在、5名で続けております。
 塾生の多くは30歳になりました。社会に出て8年前後ですから、バリバリの中堅社員という位置づけでしょうか。今回の学び塾の冒頭で、期待を込めて「後輩の育成」を要請いたしました。

『今回皆さんに申しあげたい使命感は、「30才を過ぎたなら、人財育成(後輩育成)は責務である」ということです。これまでも何度となく問題提起してきました。
 強調したいことは、“謙虚に学び続けるとともに、それまで培って蓄えてきた能力を、(未熟な能力ではあるけれども)後輩育成のために積極的に使いなさい”、ということです。“自分:相手=49<51の行動理論で、影響力を行使しなさい”、“攻めの対人関係を築きなさい”ということを申しあげたいのです。年齢的に は、もうそんな時期に差し掛かっています。
 今の年齢で変わることができなかったら、一生受身の姿勢から脱皮できないと断言します。 ………… 』

 “後輩育成は皆さんの任務である”ということ、“人財育成という志事(敢えて、仕事を志事と言い換えました)は、それまでの何倍もの勉強が必要となることから、自分自身の大きな成長機会でもある”ということも、声を大にして伝えました。
 また、私たちが属する業界の企業内教育に対して感じている私の危機感についても、率直に伝えました。

『厳しい評価と思われるかもしれませんが、薬剤師有資格者の教育担当で、私がプロと諸手を挙げて評価できる方に出会ったことは、残念ながら無いのです。“人財育成推進の鍵を握る企業内教育担当の育成こそが喫緊の大きな課題”と、ハッキリと申しあげたいのです。 ………… 』

 今後のエッセイでは、様々な角度から人財育成の着眼点を取りあげる予定でおります。今回がその第一弾です。日頃感じている、日常の教育活動におけるマネジャーの着眼点を考えてみました。

日常の教育機会の指導ポイント

 企業内教育において、教わる側は当然として、教える立場の人は、教わる人以上の覚悟と姿勢が求められます。その覚悟や姿勢は、人財育成の成否を左右する重要な着眼点なのです。
 教えるという行為は、「教える内容を、納得し理解しながら誠実に学んでもらうことであり、最終的には“知って出来る”レベルに導くこと」です。限られた時間・場所・機会の中で、効果的効率的に目的達成するためには、かなりの工夫と粘り強い努力が必要となります。その場合明らかにしておきたいのが、効果第一主義ということです。その上で効率的な進め方を工夫することになります。それらのことを再認識して、“日常の教育機会における指導ポイント”を再編してみました。
 もう一つ重要な着眼点があります。それは、“日常の教育機会は研修(OffJT)だけではない”ということです。OJTや自己啓発はもちろん、会議やミーティング、日常の対話、プロジェクト活動、顧客とのやり取りを含めて、毎日の細かな一挙手一投足全てが教育機会なのです。就業時間内での出来事全てが育成機会と位置づけることが肝要なのです。教育=研修という先入観・固定観念に縛られている方は、この機会に改めて頂くことを切に望みます。
 以下、私が意識しております日常の教育機会の指導ポイントをご紹介したいと思います。それらは、教える側の自己啓発ポイントでもあります。

1.学ぶことに対する基本スタンスを矯正する~学ぶ機会への感謝の心

 学ぶ機会があることに対して感謝すること!
 先ず、教わる方々に、当たり前の心構えとして、感謝する心を意識づけすることです。教育環境を会社が作ることは当然の責務ではありますが、教育機会が少ないことを理由として自己啓発を疎かにするような、いわゆる従属的依存意識を改めることからスタートしなければいけません。
 もう一つ、自分自身の成長願望を公言できるように動機づけすることです。具体的には「とにかく学びたいのです。だから、教えてください」と真剣に言える人の育成こそを強く申しあげておきます。

2.部下や受講者のやる気・好奇心・感受性を高めて、想像力を養い発揮させる

 やる気を高める要因の一つは、徹底して知識を増やし、スキルアップすることです。そうすることで、今まで解決できなかった問題や課題が、それまでよりは高い確率でクリアできるようになります。また、仕事を遂行する上で役に立つことが徐々に増えていきます。新たな能力が身について明らかに増えてきたことが実感できれば、自ずと主体的に学ぶようになります。解決の着眼点が増えて、学ぶことが楽しくなっていくのです。
 学ぶことがもっと楽しくなる秘訣は、小さな自分運動を継続して、スモールサクセスストーリーを積み上げさせることです。日々の失敗から学ばせることはさらに重要です。そして、毎日の小さなコツコツ努力を、何年も何十年も積み重ねるしか道はないと覚悟させることです。経験の浅い段階では何も見えてきませんが、根気よく行動し続ければ、的を得た問題意識が拡がる感覚が芽生えてきます。やる気はもとより、好奇心も感受性も、そして想像力も高まっていくのです。そう言い続けながら、より積極的な行動姿勢を引き出し、継続行動を促して粘り強く育んでいくのです。
 具体的手法としては、目標と自己統制によるマネジメント(目標によるマネジメント、目標管理)が最適です。

3.自力で解決できるようにする

 私の考える教育の目的の一つは、“自力で解決できる人財”の育成です。自助力(自分一人で問題や課題を解決できる能力)のブラッシュアップです。そのためのポイントとして、二つのテーマが考えられます。

(1)「問題(課題)解決の基本ステップ・対処方法」と「知識の在処(ありか)」を明示する

 困難な問題が発生した時、今までのやり方では解決できそうもない課題に出会った時、次のような事態が考えられませんか。
 “何をどうすればいいのだろうか?”、“どうしたら解決に導くことができるのだろうか?”、“どこから手をつけたらいいのだろうか?”等々、スタートから大きな壁にぶつかると思います。研修などのOffJTでは、時間的な制約のもとでの進行になりますから、用意周到な準備が成果に影響してきます。
 そんな時は、学び方や考え方の基本ステップ、問題解決の基本的な対処方法、知識の在処がしっかりとインプットされていることで、スタートダッシュに弾みがつく度合いが高まります。
 具体的には、「達成確率が高い問題解決の基本手順(プロセス、流れ)が身についていること」、「目的、目標、課題の主旨・理由(何故)が理解されていること」、「解決に必要な知識・情報が何であるのかを知っていること」、そして「健全な心構え(行動理論)を貫いていること」などが挙げられます。知識の在処とは、その時々に必要な知識が何に(専門書・テキスト・手引・書籍・教材など)掲載されているのか、どこに行けば(例:○○図書館など)入手可能なのか、あるいは誰に訊けば分かるのか、など知識の入手先や入手経路のことです。その引き出しが多ければ多いほど、様々な角度からのプランニングが可能となるでしょう。

(2)重要な事柄(根幹)と重要でない事柄(枝葉)を明示する
 人間の吸収力には限度があります。絶対に身につけておきたい事柄(根幹の部分)とそうではない事柄(枝葉の部分)を明らかにして、メリハリをつけて教えることで教育効果が格段に高まります。あれもこれもでは、消化不良に陥ってしまいます。
 そのためには、教える側がどれだけ学んだのか、事前にどれほどの準備をしたのか、にかかってきます。正に、“教うるは学びの半ばなり”なのです。その上で、一人ひとりの修得度合いに応じて対処することです。

4.徹底して基本を修得させる

 「教育の基本理念」(エッセイ123参照)の“理念8:育成の原則は修・破・離である”を思い出してください。業績や成果を左右する要素の一つは、どれだけ職務遂行能力を身につけたかです。対人関係能力も含めた職務遂行能力のプラットホームは基本です。若いうちに、基本を徹底的に身につけたかどうか、基本が身についたかどうか、それで“勝負あり”なのです。

                                          (2016.6.25記)

エッセイ125:私の提唱する「教育活動の基本原則」5~10

 前回の続きです。私が提唱しております「教育活動の基本原則」の原則5から原則10の紹介になります。

私の提唱する「教育活動の基本原則」5~10

●原則1『会社・各組織の教育方針・教育計画と社員一人ひとりの個別育成計画を、できる限り合致させること』:目標による管理
  
●原則2『現場に適合した教育を、自力で実施すること』:現場密着型教育、研修企画検討表
  
●原則3『いま必要な教育を優先的に行なうこと。やる必要のない形式的教育を、わざわざ行なってはいけない』:教育ニーズを明確に(研修企画検討表)
  
●原則4『教育は人事機能の一部である。だから、人事制度全般と連動させて企画運営すること』:人事と教育の一元化、キャリアプラン・キャリアパス
  
●原則5『仕事そのものが育成の教材である。だから、人財育成の推進テーマ・内容は、各職場の各仕事を中心に企画すること、そして実施することが基本』:OJT・OJLを日々始終
  
 企業内教育の推進テーマは、“日々の仕事そのもの”、“日々の出来事そのもの”になります。それが基本であり大前提なのです。そのことが、“目標による管理(マネジメント)”推進の核心なのです。
 人財育成は、部下を持つ管理者(マネジャー)の主要任務ですから、育成責任者は管理者一人ひとりとなります。人財育成の重要性を鑑みれば、使命感を持って対処するしかありません。部下(メンバー)の不具合に気づいたら、即、その場で矯正(OJT、OJL)する姿勢が習慣化されていなければなりません。後でまとめて注意するやり方は、ご法度ということです。
 最悪なのは、人財育成に関心がなく、その不具合に気づかないことです。気づこうとしないことです。そんな管理者は、自分からその職を降りて頂きたい。財産である部下が迷惑をします。部下は、上司を選べないのですから。

●原則6『受講者には、学んだことを活用する機会を作ること、作らせること』(活用のない教育は、無意味・無価値・無駄になってしまう):教育と仕事の連動
  
 初任者に、知識教育は不可欠です。しかし、学んだことも、使わなければ錆びついてしまいます。そこで、研修受講後に学んだことを活用する機会を、必ず作ることが重要です。
 その機会をどうやって作るのか?キーパーソンは、直属の上長です。原則5で申しあげた通り、育成責任者である上長が活用機会を考えるのです。フォローツールとして、「6ヵ月間実行計画書」などを用意すると、活用実態や成長実態などの進捗状況把握が容易になります。

●原則7『教育は、体系的な仕組みの中で、計画的・継続的に実施して、大輪の花開く土壌(風土)が醸成されていく』:教育は風土作り・風土改革
  
 “人財育成は当たり前”、“教育は自主的に取り組むことが大前提”という職場環境が、どんな逆風に襲われてもグラつかない理想の職場の一つではないでしょうか。そのような職場風土を実現するためには、人財育成の総責任者でありコントロールタワーの教育担当が、人事制度と連動した教育体系を策定し、粘り強く継続して運営することが求められます。
 “農作物の生命は土壌にある”ともいわれます。企業の土壌は、風土であり文化です。企業内教育の行き着く先は、企業風土(文化)作りであり企業風土(文化)改革なのだと思います。

●原則8『実施後の成果評価と今後の方向づけを、各々の立場(受講者、上長、専任スタッフ、会社)で、自主的に行うこと』:PDCAサイクル、研修派遣事前・事後フォロー手順
  
企業内教育の中でも、研修などのOffJTは、成果評価が難しいのが 実状です。しかし、評価・検証をキチンとやらなければ、マンネリ病に罹って企業の存在価値失墜への道を歩むことになります。
 私は、どのような教育機会においても、最低半日の時間を費やして成果評価を行い、次回の改善項目を具体化しております。教育機会一つひとつのスパイラルアップを意識して、自主的にPDCAサイクルを回しているのです。因みに、費やす時間が2時間で済む場合もありますし、延べ1週間以上を要する時もあります。それぞれの経緯・目的、位置づけ、今後の関わり方の比重、そして、その時々の状況と睨めっこしながら対処することになります。
 その行為は、教育担当の顧客である受講者への誠意の表現でもあります。顧客満足(Customer Satisfaction)は、全ての仕事に共通した着眼点でなければいけません。担当する仕事内容や職種によって異なってくるのは、対象となる顧客の違いだけです。

●原則9『教育理念と実施内容の整合性を図ること』:コストパフォーマンスの意識
  
 教育投資にも、コストパフォーマンス意識が強く求められます。経営環境悪化を想定したリスクマネジメントの訓練にもなります。
 コストパフォーマンスを高めるためには、基本理念と基本原則を意識して具現化していくことにつきます。要約すれば、実施内容と基本理念&基本原則との整合性を図って企画し実施することです。特に理念は、企業姿勢の対外的な公式宣言なのですから。
 もう一つ、実質費用についても意識して考えたいものです。かかる費用が少なくても、パフォーマンスがゼロとか不満足では、時間と費用の浪費といえましょう。原則3と同じように、ここでも“時は金なり”はという着眼点を忘れないようにしたいものです。
 改めて強く申しあげます。経費の無駄遣いが明らかな“実施する必要度が低い教育機会”の開催には、誰よりも毅然とした態度で排除しなければいけません。そのような行動こそが教育担当の矜持である、と公言できるようになりたいものです。

●原則10『企業全体に、「教育は永続的繁栄の基盤であり、教育機会への参画は当たり前」という考え方を浸透させること』:理念の共有・共鳴

 “お題目”という表現を使う時は、誉められるケースではありません。
 企業理念が、“お題目”として揶揄されることがあります。理念の具現化を本気で目指しているのかどうか、非常に疑わしい場合がその類いに当たりましょう。朝礼で唱和する企業もありますが、実現を念頭に心を込めて唱和したいものです。
 共有そして共鳴という空気は、一朝一夕に作り出すことは不可能です。役員・上位管理者が、意識してそのための機会を作り、繰り返して説いていくしかありません。また、言行一致も絶対条件です。些細なことでも、一回の言行不一致が不信感となって伝染します。
 永続的に繁栄している企業は、理念や方針が風土として、文化として根づいています。社員の中に浸透しています。経営者が率先して、理念・方針の共有を主目的としたコミュニケーションの種を小まめに蒔いているからです。粘り強く話しかけているからです。
 その企業特有の風土や文化のことを「○○WAY」と表現しているケースに出会います。世間様から、○○WAYと認知される企業を目指したいものです。そのような企業は、間違いなく強い。強い企業は、上に立つ者ほど、自主的に教育機会に参加しています。積極的に自己啓発に励んでいます。謙虚に学んでいます。その結果として、永続的に顧客から支持されるのです。
 教育担当は、誰よりも誠実で賢明な旗振り役でなければいけません。言行一致を貫く覚悟が求められる志事なのです。
                                                                      (2016.7.20記)

薬学生とのMプロジェクト(その2)

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 薬学生との全5日間のMプロジェクトの最終回が終了いたしました。
 先ず、当日のカリキュラムから紹介したいと思います。

★最終回:11月6日(日)13:00 ~ 17:00
 2分間スピーチ/私の主張発表会(①私の志(目指す薬剤師像、人間像)、②私の考える“誠の人間とは?”)/調剤過誤防止の基本的指針、5S、ハインリッヒの法則/謙虚×真摯/「きけわだつみのこえ」を知っていますか、学徒出陣を知っていますか、漂流郵便局・漂流ポストを知っていますか?/就職活動に臨む薬学生に、今この時期一番申しあげたいこと!/5日間を振り返って(各自の感想・評価)/まとめ:改めて、コミュニケーションの本質は何か?/所感作成

 5日間の全てが、大学のカリキュラムとは進め方も内容も異なる世界だったと思います。今回の4名にとっては、それが新鮮と感じられて新たな動機付けのきっかけとなったように感じました。一人ひとりの5日間を振り返っての感想から、そのことが明らかになったと思います。
 主催責任者からは、新たな受講者を募ってこの輪を広げたいとの依頼を頂戴しました。
                                                  (2016.11.7記)

エッセイ124:私の提唱する「教育活動の基本原則」1~4

 前回と前々回の2回に分けて、私が提唱しております「教育の基本理念(人財育成の着眼点)」の全文をご紹介いたしました。今回は、「教育の基本理念」を実現するための行動指針の必要性を感じてまとめたものを取りあげたいと思います。
 その10カ条の指針には、「教育活動の基本原則」と命名しました。「教育の基本理念」とともに、人財育成のもう一本の大黒柱として、車でいえば両輪と位置づけて現在に至っております。
 その基本原則は、人財育成機会全般を企画・計画・運営する時の具体的な意思決定基準や行動指針となるものです。企業内教育に散見する“総論賛成、各論反対”の歯止めの役割を担ってくれることも期待しているのです。“やって良いこと”、“やるべきこと、やらなければならないこと”だけではなく、“やる必要のないこと”、“やってはいけないこと”を判断する時の基本指針なのです。
 100年以上も前に、ジェームズ・アレンは言いました。“人は考えた通りの人間になる”と。基本理念と基本原則が完成した時、アレンの言葉を心に貼りつけて、志実現のために日々精進すること、失敗を恐れずに試行錯誤し続けることを、心静かに誓いました。その誓いは、私にとりまして、いつまでも忘れてはいけない大切な記憶の一つとなりました。

私の提唱する「教育活動の基本原則」1~4

●原則1『会社・各組織の教育方針・教育計画と社員一人ひとりの個別育成計画を、できる限り合致させること』:目標による管理
  
 P・F・ドラッガー氏をご存知ない経営者・管理者はいらっしゃらないと思います。日本の企業経営に多大な影響を及ぼし、“経営の神様”とか“マネジメントの父”といわれた経営学の第一人者でした。
 ドラッガー氏は、こう言われたそうです。「経営に哲学があるとすれば、それは“目標と自己統制によるマネジメント”である」と。“目標と自己統制によるマネジメント”は、通称“目標による管理(マネジメント)”とか“目標管理”と呼ばれております。
 仕事の進め方の基本は、“目標による管理”を土台として、PDCAサイクルをスパイラル状に回していくことだと思います。人財育成は、その“目標による管理”に包括して進めていくルーティーンでなければいけません。さらにこの原則1は、原則5と6を実現するための大前提であり、スタートラインなのです。

●原則2『現場に適合した教育を、自力で実施すること』:現場密着型教育、研修企画検討表
  
 社員育成や企業内教育を他人任せにしたら、一体どうなってしまうのでしょうか。アウトソーシング主流で良いのでしょうか。それらは、マネジメントの基盤である社員育成責任の放棄であり、経営資源の退化につながります。自社の社員を自力で育てられない企業に、明るい未来が訪れるとは到底思えないのです。
 もう一つ、教育は机上論だけでは運営できません。各現場の個別の原因や事情に適合した教育内容でなければ、成果に結びつかないのは当然と言えましょう。成果に結びつかないことに対して、誰だってシャカリキになれるわけがありません。そうならないために、全ての教育機会は“研修企画検討表”を使って、十分な実態解明をベースに推進することです。教育手法は、実態解明後の検討テーマになります。
 現場密着型教育を、方針も目標も計画も無しの『現場丸投げ方式』と勘違いしている方が、思った以上に多いことも気になります。それをOJTとは言いません。OJTの勉強不足・理解不足・認識不足が、本末転倒の勘違いをさせてしまうのです。

●原則3『いま必要な教育を優先的に行なうこと。やる必要のない形式的教育を、わざわざ行なってはいけない』:教育ニーズを明確に(研修企画検討表)
  
 研修・セミナーでもOJTでも、実施することが目的であってはいけません。開催して自己満足しているケースが多いように感じております。そんな目的曖昧の教育は、成果が得られないばかりではなく、時間の浪費、費用の無駄遣い、やる気の喪失…、悪いことだらけでしょう。
 研修を含めた教育機会の企画は、問題解決の基本手順に則った“研修企画検討表”を活用して、事実に基づいて比較検討することが肝要です。ルールを決めて、関係者全員に徹底するだけで済むことだってあります。仕事同様、企業内教育は緊急度と優先度を明確にして推進するものです。「時は金なり」を知らない教育担当者や管理者には、“喝!”を出すことになります。

●原則4『教育は人事機能の一部である。だから、人事制度全般と連動させて企画運営すること』:人事と教育の一元化、キャリアプラン・キャリアパス
  
 人財育成の推進には、企業全体の業務内容と各組織の関連を理解しておくことが必須条件となります。そうしませんと、各組織バラバラの詰込み教育が一人歩きして、空中分解するでしょう。
 人事制度も教育制度も、人的資源の革新を通して、企業理念を具現化するためのものです。経営環境に即応するためのものです。人事機能の鳥瞰図を描けば全体が見えてきます。企業内教育の企画は、そこからがスタートとなります。社員一人ひとりのキャリアプランとキャリアパスが、個別育成計画の柱になるのです。

                                               (2016.7.20記)

薬学生とのMプロジェクト(その1)

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 人材開発部の井上です。
 薬学を学ぶ有志4名と、全5日間のプロジェクトを推進中です。名付けてMプロジェクト。参加メンバーは、あるサークルで活動中の5年生で、この期間は所属する講座(研究室)での卒業研究がメインの毎日のようです。
 そのような中で、将来の仕事の基礎的土台を学ぶことを主眼とした自主的取組みに、自ら手を挙げて参加してくれました。「限られた時間で、信頼と安心のコミュニケーションを図る基本を身につける」ことを一番の狙いとし、「将来の職能の質的レベルをより高めてくれる着眼点と引き出しを増やすこと」、「視野を拡げて状況対応力を強化すること」なども念頭に置いて企画編成したプロジェクトです。この30数年間で学び身につけたノウハウを総動員して、選択と集中を意識してカスタマイズしました。
 一昨日に4回目を終了したところです。各回とも日曜日の午後、“共に学び合い切磋琢磨する”、“ぐるぐる回りの対話で潜在意識を引き出す”、… あっという間の4時間になっています。その全体像を紹介しましょう。

★キックオフ:9月25日(日)17:00 ~21:00
  開講宣言/教わるとは、勉強の目的など/オリエンテーション(狙い、スケジュール、運営の基本ルールなど)/所感作成
★2日目:10月2日(日)13:00 ~ 17:00
  2分間スピーチ/自己動機づけの原点、修破離、問題解決の思考プロセス/プレゼンテーションの基本/仲間への自己紹介/コミュニケーションの阻害要因/所感作成
★3日目:10月16日(日)13:00 ~ 17:00
  2分間スピーチ/成果を左右する3大要素、行動理論(心構え、心の姿勢、判断基準、思考習慣)とは、何故行動理論を正すのか)/コミュニケーションとは/コミュニケーションの難しさ体験ゲーム/所感作成
★4日目:10月23日(日)17:00 ~ 21:00
  2分間スピーチ/信頼と安心のコミュニケーション実現の1丁目1番は?/本気で向き合うとは/特別研究耕座「医療従事者のコミュニケーションの基本」/ケーススタディ(OSCE病棟業務の初回面談、服薬指導)/4日間のまとめ(情熱と行動、前途に邁進する若人よ大志を抱け)/所感作成

 Mプロジェクトの『M』には、いくつかの思いを込めております。
“共にび合い切磋琢磨する”のM、“の人間たれ”のM、“コミュニケーション能力を高める種き運動”のM、…… 。
 11月6日(日)が最終回となります。その日のカリキュラムは、後日紹介したいと思います。

                              (2016.10.24記)

エッセイ123:私の提唱する「教育の基本理念」(人財育成の着眼点)4~10

 前回に引き続きまして、私の考えました「教育の基本理念」(人財育成の着眼点)全10カ条を披露させて頂きます。後半部分の理念4から理念10です。

私の提唱する「教育の基本理念」(人財育成の着眼点)4~10

●理念1『会社にとって一番の資源であり財産は、社員一人ひとりである』:人財

●理念2『私達の使命は「顧客に“有難う”と感謝して頂くこと」つまり、「顧客のお役に立つこと」である。そのためには、理念・方針に基づいたアクションプランを誠実に実行し、目標・目的を達成することである』:顧客(患者、生活者)満足、社会貢献

●理念3『企業は環境適応業なり。その秘訣は、オンリーワンの価値を創造することである』:企業の存在価値の創造

●理念4『教育の本質は、共に育つことにある』:共育
 教育とは何か? 私にとりましては永遠の課題かもしれません。昭和62年頃に、その命題に初めてぶつかりました。その結果として、『教育とは「共育」なり』に行き着いたのです。
 その根源は、人間は一人では生きていけない、という実体であり実感からでした。自分一人の 力で成長したというのは、驕りのように思います。自己責任と自主自律が基本ではありますが、多くの人に支えられて現在の自分があることも事実なのです。今この時も、そしてこれからも不変なのです。

●理念5『私達の能力を発揮する場所は、仕事場である。最終的には、顧客との接点である現場や窓口、日常のオフィスとなる。そして、一人ひとりの仕事そのものが、最高の能力開発機会(チャンス)なのである。このことは、自分の手で課題を見つけだし、仮説を立てて、PDCAサイクルをスパイラル状に回すことを意味する』:仕事が教材
 最高の育成テーマは、正しく仕事そのものです。日々の出来事です。日常の出来事を教材に出来るのは、社員一人ひとりの“問題意識”と“感受性”ではないでしょうか。育成&成長の教材は、自分の周りの身近なところに転がっています。自分事(じぶんごと)として捉えたいものです。そして、解決するためには、具体的な目標と6W3Hを動員した計画が不可欠です。
 さらには、“成長という産物は、簡単には手に入らない”を大前提として、“倦まず弛まずコツコツと対処するべき”と、つくづく感じています。

●理念6『人財育成は、企業全体と各組織の最重点任務である』:自己責任、自前主義
 人財育成は、言うまでもなく、企業存続の重要課題の一つです。マネジャー職(職位名を問わず、部下を持っている人全員)が、自己責任で全力投球を求められる最重点任務なのです。そのことが肚におちていなければ、企業内教育は“絵に画いた餅”で終ってしまいます。

●理念7『育成の要諦は、育成責任者であるマネジャー層が、赤々と燃える「育成魂」を持ち、メンバー一人ひとりの成果につながる目標を明示し、試行錯誤させて、挑戦した努力と成果に報いることである』:個別育成、状況対応、客観的評価
 この理念は、マネジャーに不可欠な基本スタンスを表しています。これが出来るマネジャーの率いる組織は、継続的業績向上が当たり前の集団になります。
 ですから、人財育成の優先順位筆頭は、マネジャーということになります。自身の自己啓発に、上手に時間と費用を投下しているマネジャーが求められているのです。

●理念8『育成の原則は、「修・破・離」である』:修破離

●理念9『育成の評価は、実践度とスキルアップ度で決まる。そのために、「やるべきことは何かを知って、出来て、実行している」状況を、日々コントロールしてメンテナンスすることに尽きる』:知・技・実行
 人間知らないことは出来ません。出来なければ、アクションを起こせません。当たり前の原理原則です。一方、やってみなければ出来るようにはなりません。また、出来るようになるためには、知識が必要となります。これも当たり前の原則です。
 さらに、知っていること(知識)や出来ること(技能・スキル)も、使わなければ錆びついてしまいます。また、新しい能力も必要になってきます。だから、日々いかにセルフコントロールしながらメンテナンスするかが重要となるのです。
 先ずは、一心不乱に学ぶ。出来るようになるまで、諦めずに実行してみる。そうすれば、自ずと能力はアップしていくのです。「継続は力なり」、「積み重ねは力なり」なのです。

●理念10『教育の成果は、継続的な業績向上と人間性の修養である』:業績向上、心を耕す
 企業内教育は、ボランティア活動ではありません。企業の成長に貢献して、初めて認められる仕事です。その成果判断の指針を、“業績向上”と“企業理念の具現化”の二つにしました。企業理念具現化のファクターは、考え抜いた末に人間性(品格)と位置付けました。

                                                  (2016.6.11記)

エッセイ122:私の提唱する「教育の基本理念」(人財育成の着眼点)1~3

 今から11年ほど前になります。何かの勉強会(確か、学び塾)で申しあげた企業内教育の土台に関する見解の一部からご紹介したいと思います。

 ヒト・モノ・カネ・ノウハウ・時間・情報・システム…、数ある経営資源の中で、イの一番にあげられる最高の資源は何でしょうか?私は、「ヒト、つまり社員一人ひとり」を断固として支持いたします。
 その社員の育成(企業内教育)について意思決定する時、その判断基準を一体何処に求めることになるのでしょうか。私は、過去20年間の人事・教育の仕事を通して、“企業内教育において必要不可欠な土台は何か!”ということが、ハッキリと見えてきました。
 企業経営の土台が企業理念であるのと同様に、教育理念が人財育成のグラつかない幹として必要なことが。それ無しには、教育成果の客観的評価は不可能でしょう。さらに、教育理念の存在は、社員のためにということだけではなく、最終的にはその企業が社会的責任を果たすことにつながっていくのです。

 この教育理念の策定は、エッセイ119回(教育とは~EDUCO TREE)で取りあげました“教育とは何か?”の回答と併せて、当時の私の最優先課題でした。私が関わっていく教育活動の方向性を見失わないように、私の行動を支えてくれているバイブルの一つが教育理念なのです。
 私の考えました「教育の基本理念」(人財育成の着眼点)全10カ条を、今回と次回の2回に分けて披露させて頂きます。30年近く前に草稿して、幾度か表現を変えて、現在に至っております。

私の提唱する「教育の基本理念」(人財育成の着眼点)1~3

●理念1『会社にとって一番の資源であり財産は、社員一人ひとりである』:人財
  どれだけ優れた業務システムも、ナンバーワン或いはオンリーワンのサービスも、それを考え出し実践していくのは社員です。人間です。その社員一人ひとりが、CS(顧客満足)という視点で、自己動機付けをしながら仕事に励んでいく原点は、人財第一主義以外にあり得ません。
  昭和63年(1988年)に遡ります。人材を“人財”という言い方に変えたのでした。

●理念2『私達の使命は「顧客に“有難う”と感謝して頂くこと」つまり、「顧客のお役に立つこと」である。そのためには、理念・方針に基づいたアクションプランを誠実に実行し、目標・目的を達成することである』:顧客(患者、生活者)満足、社会貢献
  企業の永続的繁栄は、顧客に満足して頂けたかどうかで決まります。顧客に支持されない企業は、結局栄枯盛衰の道を歩むのです。それは、歴史が雄弁に物語っていますね。
  薬局の場合、顧客は患者に限定しがちですが、地域の生活者を忘れてはいけません。それこそが、東日本大震災から授かった強烈なメッセージではないでしょうか。
  顧客満足実現のためには、企業理念と基本方針実現のための具体的計画を、日々コツコツと積み上げるように実行するしかありません。言行一致、知行合一です。

●理念3『企業は環境適応業なり。その秘訣は、オンリーワンの価値を創造することである』:企業の存在価値の創造
  企業運営を不易流行に置き換えてみると、企業理念は不易ですね。それでは、流行とは何をどうすることでしょうか?
それは、経営環境の変化に即応していくことではないでしょうか。その大元は、結局は顧客になります。その顧客も変化します。そういう意味では、年1回は、“我が社の顧客は誰なのか”を再定義してみることも重要になってきます。その顧客が求めるニーズ・ウォンツへの対応こそが、オンリーワンのノウハウに繋がっていくのですから。
  オンリーワンとは、“競合他社に真似の出来ない競争優位性”を指します。

                                                                  (2016.6.11記)

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