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エッセイ167:ロールプレイングの主目的は、後輩の自発的やる気に火を点ける訓練

 6月3日(日)に、私が主宰しております第21回学び塾を行ないました。前日から二日間、東北六魂祭の後継イベントである“東北絆まつり”が開催される中、会場の岩手県公会堂に面した中央通りでは、青森ねぶたや秋田竿灯などのパレードと演技があって、何か得した気分になりました。
 今回の学び塾には、新社会人として船出したばかりの新薬剤師2名が、オブザーバーとして参加してくれました。オープンキャンパスもどきでしょうか。現塾生が学び塾レポートで述べているように、いわゆる共通専門能力や考動(思考&行動)理論、そして考え方や生き方を学ぶ機会が少ないというのが実態です。少ないというより、皆無に近いようですね。初参加のお二人には、学び塾設立の趣旨と参画ルールに賛同してくれるのであれば、以降の受講を歓迎したいと考えております。そして、年齢差、経験差に関わりなく、これからも切磋琢磨しながら相互啓発し続けられる塾にしたいと思います。

 前回の学び塾から、部下を持つマネジャー(管理者)のためのマネジメント&リーダーシップ教室をスタートさせました。中堅薬剤師として、人材育成実践能力のスキル化を目的に企画したオリジナルカリキュラムです。スキル化とは、知っているだけというレベルではなく、説得力のある対話やプレゼンテーション、状況に応じた適切な指導が実践出来る能力を身につけることです。考え方や基礎知識は、教材を用意して講義と対話で進めますが、毎回ロールプレイング(以下、RP)やテーマ討論を研究講座として組み込んで、現状実態に近い環境で進めることにしております。今回は、その手始めとして行動理論のRPを行ないました。その意図することや感じたことを、率直に取りあげたいと思います。

ロールプレイングの主目的は、後輩の自発的やる気に火を点ける訓練

 人材育成の要諦は、“自発的やる気(心)に点火できるかどうか!”にかかってきます。さらに、誰彼の支援を仰ぐことなく、セルフモチベーションしながらセルフコントロール、セルフマネジメント出来る様にすることです。常にそのことを意識しながら、その時の状況に応じた個別対応が本質なのだと自覚しております。
 しかし、個別対応が本質と言われても、一人ひとりの自発的やる気に点火することは、「言うは易し行うは難し」で、頭では理解していても、そう簡単に事が運ばない大難題なのです。私自身の過去を振り返ってみても、「心に火を点けてやる気を引き出すこと」は容易なことではありませんでした。
 一方、大難題だからといって手を拱いて何もしないままでは、私自身そして学び塾の理念に反することになります。そこで、部下や後輩の心に火を点ける訓練の一環として、テーマを決めた研究講座を企画したのです。
 その1回目として、行動理論のレクチャーロールプレイングからスタートすることにしました。前回の学び塾では、私のやり方を一モデルとして実演してみました。“学ぶ”は、“真似る”或いは“倣う(ならう)”(手本として真似る)でもあります。そんな遊び心でチャレンジすることにも意味がありますし、何よりもチャレンジすることを楽しんで欲しいのです。
 今回は、後輩育成の理論武装の一環として、「行動理論とは何か?」、「何故行動理論を正すことが重要なのか?」、「行動理論の意義は何か?」の三点を中心に講義することが目標です。講義といっても、“正確さ、分かりやすさ、説得力”を評価基準とし、所要時間は15分間という時間制限もしました。3名の塾生が挑戦しましたが、新人薬剤師が参加したこともあって、格好の研究講座になったと思います。
 それ以外にも、私が意図するRPの目的があります。“知っている(知識)というレベルと出来る(技能)というレベルでは、雲泥の差があること”を、人材育成の大前提として意識させたいのです。前文でも申しあげましたが、知識を技能に昇華して、いつでも出来るような状態にしておくことを後押ししたいのです。その出来るレベルに進むためには、みんなの前で実演するという訓練を積み重ねることが、格好の教育手段なのだと思い続けております。“実演では、本気で自分で考えた言葉と表現でやりましょう”という激励が、私の口癖になりました。

 「心に火をつける」とは、“内発的やる気を引き出すこと”です。さらに、その火は実行動へと受け継がれなければ元の木阿弥となります。意識と行動をセットで変革に導いて、はじめて“火をつけた、引き出した”と言えましょう。そうするためには、説得力のある言葉を選び出し、その言葉の使い方や表現方法を吟味しながら、心に響く眼差しと雰囲気をもって、心の琴線に触れる話し方で、全力投球することだと思います。もう一つ忘れてはいけないことがあります。投げかけ続けること、問い質し続けることです。そう心に刻んで、私は対処するようにしております。

 さて、今回の塾生のRPが、私の目にどのように映ったのか、あれこれ呟いてみましょう。
 「瓢箪から駒(が出る)」という諺をご存知でしょうか。本来“酒を入れる器である瓢箪から馬が飛び出す”ということで、転じて“あり得ないことが起こる”、“思いがけないことが実現する”という意味で使われているようです。3名には失礼な例えになりますが、そんな感じを抱いた70分間の演技だったと思います。三者三様で、全く異なるアプローチが何よりも新鮮でした。どのような表現で締めくくるのか、なかなか想像できない展開でもありました。それぞれに苦心の跡が見られ、中には感心させられた工夫もあって、興味深く拝聴した次第です。過去30年間では、営業担当者の新規商談、マネジャーの目標管理面談、いくつものビジネスマナー関連のRPを行なってきました。今回は、テーマと対象者を決めて講義するという形式をとりました。初めての試みです。それぞれのRP内容の違いを目の当たりにして、新たな引き出しを発見した気がしております。しばらくは、この形式を続けたいと思います。
 一方で、実を申せば、私が思い描いていた目的や目標達成には程遠かったのです。何故そうであったのか、数日間かけて検証してみました。
 先ず、今回のRPの目的・目標が抽象的であったこと、さらに、目的・目標が共有化されないままに見切り発車したことがあげられます。“試行錯誤しながら解決していけばどうにかなる”という甘えが根底にあったのです。もう一つは、そもそもRPという手法の目的、メリット、注意事項などの基礎知識修得を怠ったことにあります。基本は修得済みという前提で実施したのです。
 これらの原因は、企画運営する側の進め方の問題になります。早速、それらの課題を克服する準備を始めました。今月を目途にRPの基礎知識をまとめあげて、次回の学び塾(10月21日)で共有化する予定でおります。知らないことは、出来ないし、やる気も起きません。やる気が起きれば、いろいろなことを知ろうとするし、上達も早くなります。また、出来ることは、やる気も起きるし、勉強するようになります。ここは、原点に返って、基本から積み上げてスキルアップしたいと思います。
 もう一点あげるとすれば、演技者がどれだけ準備したかの問題になります。後輩育成は重点任務という観点から、パーソナルインフルエンスのアップ策として今回のようなRPを続けたいと考えております。次回からは、ストーリーを文書化して公表し、その上で演技することを基本ルールにして進めたいと考えております。そして、“教うるは学ぶの半ばなり”の意味を考えて準備することを促したいと思います。
                                                                          (2018.6.21記)

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